北支派遣軍
歯磨き粉とクーニャンのお話
著者 石川栄一
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2026/6/17
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筆者の近況報告
2024/6/16更新
北工会行事特集
撮影・編集 石川 栄一
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石川栄一の 怪談・奇談
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皇軍一兵卒の父 昭和18年頃 (私が生まれる4年前)
北支那方面軍 (北支派遣軍)総司令部(北京)
支那派遣軍は中国大陸の全陸軍部隊を統括。
終戦時、支那派遣軍の総兵力は105万を数えた。

父の任務は輜重兵(しちょうへい)

『輜重兵「概要」』
 戦闘行動の上で兵站業務は極めて重要であり、輜重兵とはこの兵站業務を専門とする兵士である。 水食料・武器弾薬・各種資材など様々な物資を第一線部隊に輸送して、同部隊の戦闘力を維持増進することが主任務であり、貨物自動車(トラック)などの大型車両を保有するが、武装は自衛に限定されるため、比較的軽装備である。
 但し、敵は後方連絡線を断とうとすることから、ゲリラの遊撃や航空阻止の対象となりやすく、いったん攻撃を受けると、戦闘力に乏しい輜重兵は、大きな損害を受ける場合もある。航空阻止も輜重兵、つまり補給部隊やその主要交通路(橋・トンネル・鉄道・ 港湾など)を主な攻撃目標とした。
 父の言によると、戦争末期、武器弾薬を輸送中に、敵機の機銃掃射を受け、機銃弾が助手席の兵士の頭部を貫通し即死したそうです。
 この時、父は輸送車を止めずに、頭を低く保ちながら運転し、武器弾薬を前線まで届けたと語っていました。
 また、輸送車の燃料は、当時、カーバイトを使用しており、作戦遂行中は、敵の攻撃に備え、夜間でもエンジンを止めなかったそうです。
 そのカーバイトで顔に大火傷をした兵士もいたそうです。
北支派遣軍の歌
『北支派遣軍の歌』は1939年(昭和14年)堀内敬三の作詞・作曲でビクターより発売された曲です。

歯磨き粉

 私が子供の頃、父はよく軍隊の話をしてくれました。北支(中国北部の地。現在、華北と呼ばれる地域)での話しです。
 現地、北京の住民(中国人)の子供が、道路の真ん中で泣いているのを見て、父が「どうした、なぜ泣いている」(中国語か日本語かは不明)と声を掛けると、子供は「歯が痛い」と訴えるので、私の父は、持っていた歯磨き粉を子供の歯に塗ってあげたそうです。
 そうしたら痛みが和らいだようで、子供は父にお辞儀をして家に帰ったと言います。これは歯痛の原因が収まったわけではなく、おそらく中国人の子供は、父の優しさにお礼をしたのでしょう。歯磨き粉で歯痛が治るのなら歯科医は必要ありません。

 日本では、病院から高齢者に渡される薬の話を、私の母がしてくれました。戦時中、日本は医薬品も不足していたため、お年寄りが腹痛のため病院に行った際、医師から貰ってくる薬は、薬包紙に「デンプン」や「小麦粉」を包んだものだったとのこと。
 国としても、戦時中は戦力にならない老人には、早く死んで貰いたかったのでしょうか。この例が全てではないかも知れませんが、軍国主義だった当時の日本では十分にあり得る話しです。

 また、北京には歓楽街(公娼区域)が多数あり、チャイナドレス姿で日本の軍人相手のクーニャン(中国人の若い女性)がたくさんいて、現在、問題になっている慰安婦などはまったく必要なかったそうです。
 そのため日本の軍人とクーニャンとの間に、子供が出来ても不思議ではありません。戦争末期、日本人が中国に置き去りにしてきた中国残留日本人の中には、このような日中孤児もたくさん含まれているかも知れません。

 私の自宅にも、父が戦地から持ち帰った写真の中には、クーニャン(中国人の若い女性)が10人くらい写っている写真があったのですが、母が処分したらしく、どこを探しても見当たりません。
 参考までにイメージ写真を掲載しておきます。

イメージ写真 チャイナドレスを着たクーニャン(若い女性)

国民党軍(中華民国国軍)と 八路軍(中国人民解放軍)

 中国大陸の北支において、父が戦った相手は、国民党軍と八路軍でした。
 国民党軍は蒋介石が率いる軍隊ですが、父の言によりますと、危うくなれば、すぐに退却する軍隊で、非常に弱かったそうです。
 一方、八路軍は毛沢東が率いる軍隊で、パーロとも呼び、父が話すには非常に手強く、敵(パーロ)側が劣勢になっても絶対に逃げなかったそうです。

 また、八路軍は、三大規律・六項注意という軍規で統制されており、国民党軍のように、農民から徴発して苦しめるようなことはなかったので、その支持を受け、勢力を拡大することができたそうです。

 父は、「戦地では、好むと好まざるとに関わらず、敵を殺さなければ自分が殺される、それが戦争だ」と述べ、日本刀(軍刀)では三人しか斬れない、何故なら、血糊で斬れなくなるため、あとは敵をぶっ叩くしかなかったそうです。
 荒木又右衛門が「鍵屋の辻の決闘」での36人斬ったというのは、相当な誇張であり、NHKの「大本営発表」のようなものでしょう。

 テレビ時代劇の「桃太郎侍」や「長七郎江戸日記」「暴れん坊将軍」などの殺陣の場面で相手を何十人も斬ってしまうのもあり得ないでしょう。
 正義の主人公側が少数なのに、悪人側が何十人も束になってかかっても倒せないのは、正義は必ず勝つための殺陣。もし、殺陣の順番通りではなく、悪人側が一気に同時にかかれば確実に倒せると思います。

 それから父は、『俺は一銭五厘という僅かな金(当時のはがき一枚の金額)で招集された。兵隊の命は三八式歩兵銃(明治38年の銃)や牛馬よりも価値が軽い。軍隊は人間の行くところではない。お前には、絶対に銃を持たせない。もし徴兵制が敷かれたら、お前の代わりに俺が戦争に行く』と述べていました。
 戦後、復員船が佐世保港に着いたとき、米軍の将校は、父が首から提げた戦友の遺骨を入れた白木の箱に対して、最敬礼をしたと言います。
 父は英語や中国語が流暢で、佐世保でしばらくの間、占領軍(米軍)の通訳をしたと語っていました。

 また、父は亡くなるまで、戦地に行ってみたいと言っていました。普通なら戦争のことは忘れたいと思うのでしょうが、父の場合は、何か忘れられない思い出があるように思えました。

 戦時中、NHKを初めとするラジオ・新聞は、大本営発表で戦争を煽り、国民には勝っていることしか伝えませんでした。
 現在もマスコミは、ウクライナ戦争やイスラエルやガザなどの中東紛争で、大勢の兵士や民間人が犠牲になっても、これを戦争ゲームのように扱い、味方の戦果を報じ続けているのです。
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叔父と寄せ書き 
 父方の親族
今後、これも国旗損壊罪になるかも知れませんね。
それとも寄せ書きの内容によるのかな。例えば、寄せ書きに「自民党打倒」と書いたら「国旗損壊罪」になるが、「共産党打倒」なら「国旗損壊罪」にならないとか、いい加減な法律になるかも知れません。
「国旗損壊罪」
合法? 違法?
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 三大規律・六項注意
万里の長城で日本軍と戦う八路軍 ウイキペディア
(白黒写真をカラー化)

三大規律・六項注意

 1928年1月、毛沢東が井崗山根拠地で、紅軍兵士(八路軍)に与えた、軍の規則は、三大規律・六項注意として知られている。

三大規律(紀律)
 1.行動は必ず指揮に従うこと。
 2.土豪から取り上げた金は公のものにすること。
 3.農民からはサツマイモ一本、取らないこと。

六項注意
 1.話しは穏やかに。
 2.売買は公平に。
 3.借りたものは返し、壊したものは弁償する。
 4.寝るとき使った戸板は必ず元に戻し、敷きわらは束ねておくこと。
 5.やたらなところで大小便をしない。
 6.捕虜の財布に手をつけない。

 これはさらに整理され、八項注意としてまとめられ、中国共産党軍(人民解放軍)の軍規となった。このような規律を持つ軍隊は、従来の軍閥の軍隊、あるいは国民党軍と全く違って、農民から徴発して苦しめるようなことはなかったので、その支持を受け、勢力を拡大することができた。
 この日中戦争で協力してた戦った蒋介石の国民政府軍(国民革命軍)と毛沢東の中国共産党軍(紅軍)両軍であったが、日本軍に勝利した後、国共内戦で再び戦うこととなった。その段階で紅軍は人民解放軍と改称し、現在に至っている。
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チャイナドレス 

ちゃんちゅう(中国酒)

 父はよく、軍隊の宴会で飲んだ「ちゃんちゅう」の話をしました。
そうとう、強い酒のようでした。SNS検索では「ちゃんちゅう」という酒は、なかなか見当たりません、おそらく「ちゃんちんぷーちゅう」のことだと思います。強精補酒(ちゃんちんぷーちゅう)は、 白酒、黄酒、果酒に動物や人参などを浸漬した混成酒とのことです。
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Night view of Sapporo city from Mt. Moiwa
 
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主催 元北海道大学 文部科学技官 石川栄一
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