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資本家は恐れている 2019年9月9日 Chris Hedges

 資本家は、利益を最大化し、人件費を削減しようとする。これが資本主義の核心の要約だ。
 資本主義はこの不変の目的によって定義される。それは民主主義ではない。それはよく主張されているような、労働者階級のための富の創出ではない。それは自由とは何の関係もない。

 一時解雇で、利益を増やして人件費を削減することはできない。
 特に大企業においては、組合を破壊し、仕事を海外移転し、外注し、自動化し、人件費を削減しない資本家は淘汰される。
 個人的な倫理は無関係だ。資本家は買収し搾取するのだ。

 資本家は資本主義の本質についてウソをつくためには、不条理なことをする。2018年の連邦所得税を支払っていないアマゾンやゼネラル・モーターズやシェブロンの三社のトップを含む181人の主力CEOが署名したビジネス・ラウンドテーブルの最新版コーポレート・ガバナンス原則が、20世紀最悪の全体主義体制の故意にあいまいな言い方に等しい理由だ。

 もし利益を最大にすることが大洋をデッドゾーンに変え、大気を二酸化炭素排出と毒素で満たし、気候を人間に適さないものにし、化学物質やゴミを、土壌、水、空気や食料に注ぎ込んでガンを蔓延させ、選挙で選ばれた議員や判事を買収して、資本の独占的利権のために働かせ、大衆から暴利をむさぼるため、医療、運輸、教育や公共事業を含め社会福祉を民営化することを意味するなら、それは事業の代償なのだ。

 もし人件費を減らすために、労働者に未組織のままでいることを強いて、仕事や健康や安全規制を廃止し、19世紀の農奴のように外国人労働者に労役を強いるため産業の海外移転し、国内賃金を抑制して、貧困に陥った住民を強制的に債務奴隷に追い込むことが、それは事業の代償なのだ。


 1920年代以来、現在アメリカが最悪の所得不平等になっているのは偶然ではない。これは資本家階級が設計したものだ。しかし、ビジネス・ラウンドテーブルの8月19日声明が明らかにしているのは、資本家が発見されたことを恐れているということだ。
 外部の制約が無く、内部の制約もがない資本主義は、国民が激怒して立ち上がるまで、逃げることができない国民を略奪し搾取する。それは今日の資本家が恐れている差し迫る爆発だ。

 資本主義は、このように社会的に破壊的な力なので、大衆に誤った情報を伝え、操るための広告でメディアを満たす。
 資本主義はその莫大な富を、マスコミを買収し、大学や非営利団体やシンクタンクを買収し、資本主義を批判する人々を悪者にし、黙らせるために使う。
 資本主義は、支配するひと握りの集団.の手中へと富を譲渡することが、社会に有益だという考え方、新自由主義イデオロギーを、たゆみなく普及させる擬似知識人や擬似経済学者に精力的に資金を供給する。

 資本主義は大衆を犠牲にするグローバル独占企業を組織する。資本主義は利益追求のために、果てしない戦争を行う。
 資本主義は反資本主義者の扇動を、テロと同等に扱い、例えば炭素排出の主要因であるアメリカの産業的農業の凶暴性や残酷さの写真を撮ったり、映画を撮影したりしようとすると、誰でも対テロ法案のもとで告訴されかねない。
 金融バブルが崩壊すると、連中は国庫を略奪し、納税者に法案を残し請求書を回すのだ。(2008年のアメリカ経済危機時には、企業は4.6兆ドルの公的資金を食いつくした。)

 規制されず、拘束を受けなければ、カール・マルクスが理解した通り、資本主義は革命的な力だ。カール・ポランニーが書いたように、それは最初にマフィア経済を、次にマフィア政府を作り出す。


 資本主義階級の強欲が、私たちの都市を腐敗した残骸に変え、国の半分以上を貧困に陥れた。我々を環境汚染による生態系破壊の道に置いたのは資本家階級の強欲だった。
 抵抗者の活動を阻止するため、アメリカの国内植民地の狂暴な準軍事部隊として機能する警察や、国民の大規模監視や、非常に拡張された大量投獄制度を含む国内制圧機構や、大衆を秘密に捜査する国家安全保障局や国土安全保障省やFBIを含む政府機関を創設したのは資本家階級の強欲だった。
 アメリカの民主的組織を解体したのも資本家階級の貪欲だった。我々にドナルド・トランプを与えたのは資本家階級の強欲だった。公益と民主主義に対するこの蔑視ゆえに、この資本家連中は裏切り者になる。

 JPモルガン・チェースの会長兼最高経営責任者で、ビジネス・ラウンドテーブル会長のジェームズ・ダイモンは「企業の目的についての声明」を含む報道発表で「アメリカン・ドリームは健在だが、ほころびている」ことを認めた。
 だが彼は「長期的に成功するための唯一の方法であるのを知っているので、大手雇用者は、その労働者と共同体に投資している。これらの近代化原則は、全てのアメリカ人に奉仕する割経済を要求し続けるという財界の揺るぎない決意を反映している。」と我々に請け合った。

 ジョンソン・エンド・ジョンソンの取締役会長と最高経営責任者でビジネス・ラウンドテーブルのコーポレート・ガバナンス委員会の委員長アレックス・ゴルスキーは、声明は「企業が社会の改善に果たすことができる重要な役割を確認する」と付け加えた。

 フォード財団理事長ダレン・ウォーカーは、この声明を「驚異的なニュース」と呼び、それは「企業と社会両方に共有される繁栄と持続可能性をもたらす」だろうと述べた。
 声明の中の大げさな表現の多い自画自賛の節は、冒頭の段落に要約されている。

『声明』 アメリカ人は、一人一人が勤勉さと創造性を通して成功し、意味と威厳のある生活を送ることを可能にする経済に値する。我々は自由市場制度が、すべての人にとって、良い仕事、強力で持続可能な経済、革新、健全な環境、経済的機会を生み出す最良の手段であると信じる。

 企業は、雇用を創出し、イノベーションを促進し、不可欠な商品とサービスを提供することで、経済において重要な役割を果たす。企業は消費者製品を製造および販売する。装置や車を生産する。国防を支援する。食品を育て生産する。医療を提供する。エネルギーを生成し、配給する。経済成長を支える金融や通信や他のサービスを提供する。




 ダイモン(純資産14億ドル)のような資本家は、米国で他のどの会社よりも規制上の罰金を多く支払っている。
 オクラホマのオピオイド危機に拍車をかけるのを助けたかどで告発されたゴルスキーは、損害賠償で5億7200万ドルの支払いを命じられた。その状態では、民主主義国家として機能しているのなら、刑務所に入れらているはずだ。
 連邦政府によれば、ジョンソン・エンド・ジョンソンやパーデュー製薬やファイザーやマッケソンも、2016年と2017年、アメリカでの、オピオイド関連ドラッグの過剰摂取により、何千人ものアメリカ人の死、一日130人以上の死に責任がある。

 ダイモンの金融犯罪だけでも多額で悪名が高い。
 犯罪には、2008年の金融崩壊前の数年に詐欺の有価証券を引き受け、住宅ローンおよび住宅ローンの借り換えでの軍人への過剰請求、過剰引き出し料に対しての顧客への過剰請求、カリフォルニアと中西部の電力市場入札での不正操作、水害保険に対して自宅の所有者への過剰請求、存在しないクレジットカード監視サービスに対する顧客への請求書送付、住宅ローンでの、白人の借り手が支払うより高い金利や料金を少数人種への請求、社員への超過勤務手当の未払いが含まれる。

 すると、シカゴではギャングが慈悲深い社会を運営しているとアル・カポネが強く主張するのに等しいこの文書は一体何だろう?
 それは、資本家連中が怖がって走っているのだ。

 彼らは支配的な新自由主義のイデオロギー観がもはや信頼性がないことを知っているのだ。嘘は暴露したのだ。
 政府の立法、行政、司法部門を含め、支配組織が機能不全に陥っていて、嫌われていることを知っている。
 彼らは、メディアやウォール街や大銀行が信用されておらず、憎まれているのを知っている。
 彼らは貧困を犯罪化して、企業の不正を合法化する刑法制度が偽物であることを知っている。
 彼らは社会的流動性が、結果的に実在しないことを知っている。そして最も重要なことは、限界金利で政府から彼らに貸された何兆ドルもの上げ底の上に構築された金融システムが持続可能ではなく、不況ではないにせよ、もう一つの景気後退を引き起こすのを彼らは知っている。
 彼らは、責任を取らされる事を知っている。


 資本家は富を守る決心をしている。
 彼らは左翼候補のエリザベス・ウォーレンやバーニー・サンダースが民主党大統領候補指名を得るのを阻止すると固く決めており、おそらく可能だ。
 だが彼ら資本家は、ヒラリー・クリントンやナンシー・ペロシやチャック・シューマーやジョー・バイデンのような、大企業権力のために人生を費やした政治家たちを有権者に売りこむことが益々困難になっているのを知っている。

 民主党の虚偽と偽善は、2008金融危機後、部外者、改革者として立候補したバラク・オバマの大統領職で明白だ。
 コーネル・ウェストが「ウォールストリートの黒いマスコット」と呼んだオバマは、民主党の支持基盤を無神経に裏切った。

 2008年の金融破綻後の、彼やクリントンや他の民主党幹部による行動が、ペテン師で、根っからのうそつきでありながら、有権者、特に白人労働者階級が聞きたいことを言うのに抜け目がなかった扇動家ドナルド・トランプの扉を開いたのだ。

 ビジネス・ラウンドテーブルの8月声明は、これらの企業グリッターに穏やかで優しい顔を与えるために、社会における資本家の役割を再構築しようとする哀れな試みだ。それは機能するまい。

 資本家は破壊する力は持っているが、もはや創造する力はない。そして彼らが止めることができない、彼らの容赦ない破壊から、彼らが恐れる社会不安と、ドナルド・トランプより遥かに恐るべき巨大な怪物が出現するだろう。
(訳:石川栄一)

記事原文


「表現の不自由展」を中止に追い込んだ政治圧力の危うさ

「表現の不自由展」を中止に追い込んだ政治圧力の危うさ 日刊ゲンダイ 公開日:2019/08/06 06:00 更新日:2019/08/06 06:00

きっかけの少女像(C)共同通信社

 暴力による表現封殺を許容する社会でいいのか。国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で開催された企画展「表現の不自由展・その後」が中止に追い込まれた一件は、民主主義の土台を揺るがす大問題だ。抗議や脅迫、そして政治による介入。企画テーマの「表現の不自由」を体現する皮肉な結果になった。

  ◇  ◇  ◇

 この企画展には、過去に美術館から撤去されたり、変更を余儀なくされた作品が展示されていた。その中で、慰安婦を表現した「少女像」などに抗議が殺到。2日には京アニ放火事件を連想させる脅迫ファクスも送られてきた。こうした卑劣な行為をあおったのが政治家たちの言動だ。

 同日に企画展を視察した名古屋市の河村たかし市長は、少女像を「反日作品だ」と断じ、「ほとんどに近い日本国民がそう思っている」と、勝手に国民の総意を任じて展示の中止を要求。「(展示会には)国のお金も入っているのに、国の主張と明らかに違う」と文句をつけた。

 菅官房長官が同日の会見で「精査した上で適切に対応したい」と、展示の内容によって補助金の交付を決めるかのような発言をしたことも、騒動に拍車をかけた。

 トリエンナーレ実行委員会会長の大村秀章愛知県知事と芸術監督を務める津田大介氏が協議し、3日に展示中止を決めたが、河村市長は「やめれば済む問題ではない」と展示会関係者に謝罪を要求だから呆れる。謝罪を求めるなら、その相手は、脅迫した卑劣漢の方だろう。

美術監督の津田大介氏も今後を懸念(C)共同通信社

■ この暴力を許せば日本は「いつか来た道」
「河村市長は南京大虐殺を否定するなど歴史修正主義で知られる人物です。大阪市の松井一郎市長も『公金を投入しながら、我々の先祖がけだもの的に取り扱われるような展示をすることは違う』と不快感をあらわにしていましたが、彼らの考え方はあまりに封建的です。
 公金は首長のものでも政府のものでもない。国民すべてのもので、権力者と考え方が違う人も税金を払っているのです。表現内容を補助金支給の条件にするなら、それは憲法21条が禁じる検閲にもつながる。
 本来、行政が行うべきは表現規制ではなく、暴力やテロ予告から表現の自由を守ることのはずです。時の権力の方針に合わない表現が潰されてしまう社会は、民主主義国家として危機的です」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)

 作品を見てどう感じるかは自由だが、「不快だから撤去しろ」と政治家が圧力をかけることは絶対に許されない。表現の自由が制限されて戦争に突き進んだ反省から、日本国憲法では表現の自由に対する保障が最大限尊重されている。

「私はあなたの主張に反対だ。だが、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」――。18世紀フランスの哲学者、ボルテールの言葉とされるもので、表現の自由が民主主義を支える重要な人権であることを示すものだ。

「主義主張が違っても、すべての人の表現の自由を保障することは近代民主主義国家の基本なのに、違う意見を潰しにかかる不寛容さが蔓延している。
 とりわけ、アジア蔑視のネトウヨを権力側が扇動し、不都合な表現に攻撃を仕掛ける構図は、隣国叩きで支持を集める安倍政権に特有の問題です。表現の自由を潰しにかかる暴力を徹底糾弾しない政府では、国際社会にも示しがつきません」(金子勝氏)

 暴力や権力による介入は、いったん許せばエスカレートする。そういう社会では、いつ自分が抑圧される側になるか分からないということを国民全員が考えてみる必要がある。


【出典】日刊ゲンダイ 公開日:2019/08/06 06:00
    更新日:2019/08/06 06:00
産経新聞社長と中曽根元首相が慰安所づくり自慢
鹿内信隆(1911年―1990年)元産経新聞社長
勲一等瑞宝章受章
中曽根康弘(1918年5月27日-100歳)元首相
大勲位菊花大綬章
慰安所の開設』「そのときに調弁する女の耐久度とか消耗度、それにどこの女がいいとか悪いとか、それからムシロをくぐってから出て来るまでの“持ち時間”が将校は何分、下士官は何分、兵は何分…といったことまで決めなければならない
(笑)
」 
戦時中に23歳で3千人の総指揮官だったことを自慢した上で、その3千人の大部隊のために、「私は苦心して、慰安所をつくってやった」と証言。
■松浦敬紀著『終りなき海軍』(文化放送開発センター出版部、1978年6月15日発行)
 ※ 写真は個人的にモノクロ写真をカラー化したものです。
産経新聞社長と中曽根元首相が慰安所づくり自慢(PDF)
従軍慰安婦問題 慰安所と慰安婦の数
韓国政府、来夏までに「慰安婦状況白書」を刊行
韓国政府、来夏までに「慰安婦状況白書」を刊行=旧日本軍の関与や国際社会の批判を掲載―韓国
Record China 7月1日(火)19時9分配信

 2014年6月30日、環球時報によると、韓国が来年8月までに「慰安婦状況白書」を刊行する。
6月30日付韓国・聯合ニュースによると、韓国政府は遅くとも来年7月の「慰安婦状況白書」刊行を目指していることが分かった。複数の政府消息筋が明かしたもので、韓国女性家族部はすでに関連機関に作成を委託したという。

計画では白書は3本の報告書と動画や音声などの付属資料から構成される。報告書は重要事項を整理し、慰安婦問題に関する法的分析と評価、国連など国際社会の立場と韓国政府の立場を示すものになる。また、旧日本軍の関与についても分析する方針で、安倍政権による河野談話検証に対抗する構えだ。(翻訳・編集/KT)

30日、韓国が来年8月までに「慰安婦状況白書」を刊行する。慰安婦に関する事実の整理のほか、法的分析や国際社会の評価も盛り込まれる。
写真は韓国の慰安婦像。
朝日「誤報」で日本が「誤解」されたという誤解 | 冷泉彰彦
 <朝日「誤報」で日本が「誤解」されたという誤解 | 冷泉彰彦 >

(抜粋) いわゆる「従軍慰安婦」問題をめぐる証言記事に関して朝日新聞が誤りを認め、取り消したことに関連して、あらためてこの「従軍慰安婦」の議論が盛んになっています。
 つまり「狭義の強制」があったと報道されたことで、「国際社会の誤解」を招いた朝日新聞には責任があるという考え方です。

 例えば安倍首相は9月14日のNHKの番組で、朝日新聞が「世界に向かってしっかりと取り消していくことが求められている」と述べたそうですし、加藤勝信官房副長官も17日の記者会見で、「誤報に基づく影響の解消に努力してほしい」と述べています。

 また朝日新聞の訂正直後に実施された、読売新聞の世論調査によれば、『朝日新聞の過去の記事が、国際社会における日本の評価に「悪い影響を与えた」と思う人が71%に達した』そうです。
しかし、こうした「国際社会に誤解されている」という議論は、それ自体が「誤解」であると考えるべきです。以下、その理由を指摘したいと思います。

 理由は簡単です。国際社会では、サンフランシスコ講和を受け入れ、やがて国連に加盟した「日本国」は、第二次世界大戦を起こした「枢軸国日本」とは「全く別」であることを認識しており、そこに一点の疑念もないからです。

 それは、講和を受け入れたという法的な理由だけではありません。戦後の日本政府、日本企業、日本人が国際社会で活動するにあたって、国際法や各国法を遵守し、多くの国や地域の中で際立った国際貢献を行い、戦後の日本および日本人の行動が国際社会から信頼されているからです。

 第二次大戦の戦中に枢軸国日本が起こした非人道的な行為に関しては、現在の日本国が、現在の世代として政府の正式謝罪を行ったり、現在の世代の納税した国庫金から補償をしたりする必要はありません。
 補償に関しては「講和条約で解決済み」だというのは、別に責任から逃げているわけではなく、「講和によって枢軸国日本から日本国への移行が相手国により承認された」、つまり「現在の日本国は枢軸国日本ではない」ことが相手国から承認されたことを意味するからです。
 第2の誤解は、したがって「枢軸国日本」の行動への批判がされると、まるで自分たちが批判されたように感じて、反論や名誉回復を行わなくてはならないという心情になる、そのこと自体が「誤解」であるということです。

 個々の兵士に至る日本軍の「全員が戦争犯罪人」であるという考え方は「講和」の精神にはありません。あくまで誤った方針へと指導した責任者のみの罪を問うという「講和条件」で和平を実現したのであって、個々の兵士や戦没者の全員の名誉まで否定しているわけではありません。

 ですから、偽証言や誤報に基づく問題があったからといって「慰安所を設置した軍隊」としてまるで日本軍全体や個々の戦没者までが不名誉な印象で固定化されているわけではありません。
 批判の対象としては、そのような「慰安所を設けなければ士気が保てない」ような作戦を続けて、実際に「慰安所設置」に関わった軍の上層部へのものであると理解すべきです。

 第3の誤解は、それでも軍の方針や軍の上層部の名誉を回復したいとして、第3の誤解は、それでも軍の方針や軍の上層部の名誉を回復したいとして、これはこの欄でも再三申し上げてきたことですが、「狭義の強制」つまり銃剣を突きつけて「人さらいのように」女性を集めたというのは「事実でない」と主張することに「効果はない」ということです。
 つまり「強制連行ではなかったが人身売買だった」または「軍や警察が女性の身柄を拘束した事例があるが、それは業者の財産権という社会秩序維持のためだった」「一晩に大勢の相手をさせたが、少なくとも対価として金銭の支払いはあった」という「事実の訂正」をしたからといって、国際社会の評価は変わらないと考えるべきです。

 「事実関係の訂正キャンペーン」を強化すれば「日本軍の従軍慰安婦という問題を初めて知ることになる」人を増やしてしまうだけです。そうした人々が「なるほど人身売買であって民間主導の経済行為だったのだ」と「理解」を示して「ポジティブな印象」を持つ可能性はゼロだと思います。
 第4の誤解は、「狭義の強制はなかった」という点など、「枢軸国日本の名誉回復」を進めることが、国際社会での日本の立場を強化するという考え方です。これは大変に危険な誤解です。
 というのは、この考え方で押し切れば、中国や韓国は「現在の日本政府や日本人は枢軸国日本の名誉にこだわる存在」つまり「枢軸国の延長」だというプロパガンダを国内外で展開することが可能になります。
 そうしたプロパガンダがあるレベルを越えていくようですと、国際社会における日本の政治活動や経済活動に支障を来すばかりか、特に中国の場合は日本を仮想敵とした軍拡の口実にもなっていきかねません。

第5の誤解は、日本の保守的な世論や、あるいは安倍政権がこの問題で強硬になれば、「いつかは強い外圧が来て何とかしてくれるだろう」という見通しがあるように感じられます。これも誤解だと思います。
 国際社会は「激しく日本批判をするような面倒なこと」はせず、むしろ日本を軽視したり無視したりするだけでしょう。というのは「慰安婦問題に関する事実関係の訂正をしたい」という日本の意向が「全く理解できない」からです。反発する以前に「理由が分からない」ことでの違和感、不快感がひたすら深まるだけだと思います。

 そうかと言って、日本の主張に「国際社会に挑戦する」ような危険性や覚悟が見えるわけではありません。「この程度の男尊女卑や既得権益擁護の古さを抱えている」という象徴的なニュアンスで感じ取って、例えば市場としての優先順位を下げたり、投資額を抑制したりという静かな動きを加速する、つまり国際社会のリアクションとしては、軽視、あるいは無視ということになるだけではないでしょうか。

 いずれにしてもこの議論では、「誤報により誤解されているから、その誤解を解きたい」という考えそのものが「誤解」だということを理解していただきたいと思います。

「朝日「誤報」で日本が「誤解」されたという誤解 | 冷泉彰彦」全文
30日、韓国・聯合ニュースは、同国のソウル中央地方裁判所が同日、日本の政治運動家・鈴木信行氏に対し逮捕令状を発行した。写真は慰安婦像。
慰安婦侮辱の日本人、韓国が令状発行し指名手配=韓国入国すると直ちに逮捕-韓国メディア
配信日時:2014年7月1日 9時26分

 2014年6月30日、韓国・聯合ニュースは、同国のソウル中央地方裁判所が同日、日本の政治運動家・鈴木信行氏に対し、逮捕令状を発行した。新華社通信が伝えた。

 鈴木氏は韓国・ソウルにある日本大使館前に設置された慰安婦像に、「竹島は日本固有の領土」などと書かれたくいを縛り付けるなど、韓国では極右勢力と認識されている。
 鈴木氏は慰安婦被害者を侮辱したとして起訴されていたが、長期にわたり出廷しなかったため、令状の発行が行われた。令状の有効期限は1年間で、同期間中に鈴木氏が韓国に入国した際には、直ちに身柄が拘束される。さらに、裁判所は検察関連機関に委託し、鈴木氏を指名手配するという。
(翻訳・編集/内山)
集団的自衛権の行使容認を閣議決定=「これで遠慮はいらなくなった」「日本国民よ、立ち上がれ」―中国ネット
配信日時:2014年7月1日 18時54分
 2014年7月1日、日本メディアによると、日本政府は臨時閣議を開き、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認することを閣議決定した。専守防衛の安全政策が根底から変わることになる。
 このニュースは中国でもすぐに取り上げられ、中国への影響として「日本は集団的自衛権を行使することで、豪州、インド、ASEAN諸国と安全政策で緊密に連携し、中国を抑え込みにかかる。また、南シナ海問題でも米国と共に介入してくる可能性が高い。中国周辺の安全が脅かされる」と伝えられている。
 一方、中国版ツイッターでは、以下のようなコメントが寄せられている。

「正常な国家の仲間入りを支持する」
「正常化はどの国も有する基本的な権利」
「解禁も良かろう。これで『正常な国家』になったのだから、国際社会が遠慮することはなくなった」
「幻想を捨て、戦争の準備を!」
「警戒せよ。良い兆候じゃない」
「日本は今後さらに凶悪になるだろう」
「ついに戦争で経済の問題を解決する道を選んだか」
「日本国民は右翼に拉致されてしまった。日本国民は立ち上がるべき」
「日本人の戦争好き、侵略好きの本性は、変えようがない」
「外交部はまた『厳しく非難』するんだろうな」
「これで日本は駆け引きのカードが増えた。外交部は頭が痛くなったな」
「戦争の足音が近づいてきた」
(翻訳・編集/北田)

「慰安所歴史陳列館」・2014年に一般開放予定

11月 23, 2012 · POSTED IN 南京市の平和史跡史料館, 速報 『アジア最大の慰安婦遺跡に南京が「慰安所歴史陳列館」を建設する予定』

 『現代日報』の記者の報道ではこれまでに懸案の南京市内利済巷にある慰安所遺跡を修復し、「慰安所歴史陳列館」として建設する予定と2014年に一般開放すると南京市・白下区が発表しました。
 南京利済巷2号の慰安所遺跡は1937年に南京占領後、日本軍が現地に設立した40か所余りの慰安所の一箇所です。2003年11月20日に当時ここに騙されてきて3年間も慰安婦を強いられた朝鮮老人の樸永心が中日両国学者の伴でこの地を再訪問し、現場を確認しました。時からここはアジアの慰安所の代表的な遺跡となり、学術研究において極めて重要な価値があります。
 「利済巷慰安所が目下保存できた最大の慰安所遺跡である。慰安所として使われた楼の面積が4800㎡にも達し、周囲の店舗を含めば8000㎡にもなる」と日本学者西野瑠美子が言いました。
 「ここ利済巷一帯に全部で3ヶ所慰安所があった。多い時に慰安婦の人数が200人を超えていた。その一箇所(現在の科巷菜場)が主に中国人慰安婦を拘禁した。利済巷2号には主に朝鮮の女性。利済巷18号は主に日本の女性。紹介によりますと利済巷2号はもともと中華民国の時代の楊善慶将軍の住宅で、南京は占領された後に千田という日本人がここを慰安所にして名前が「東雲慰安所」と呼んでいた。
 この建物の一階には14間の部屋、2階には16間の部屋がある」と始めて全面的に南京の慰安所問題を研究した南京師範大学の教授経盛鴻の著作『南京倫陥(陥落)八年史』に書いています。
南京利済巷2号の慰安所遺跡のほか、南京には「安楽酒店慰安所」(現在江蘇飯店」、「松下富貴楼慰安所」(現在の常府街)、「傅厚街慰安所」(現在の傅厚街)、「青南楼慰安所」(又は菊水楼慰安所」(現在文昌巷19号白菜園大院)などの遺跡が現存です。

(出典)中国民間・アジア平和文化交流の会
「慰安婦」問題を知ろう (PDF)
従軍慰安婦問題 慰安所と慰安婦の数

慰安婦とは
 いわゆる「従軍慰安婦」とは、かっての戦争の時代に、一定期間日本軍の慰安所等に集められ、将兵に性的な奉仕を強いられた女性たちのことです。
 これらの人々のことを日本で戦後はじめて取り上げた書物の著者たちは「従軍慰安婦」と呼んできました。
 したがって、日本政府がこれらの人々の問題に最初に直面した時も、アジア女性基金がスタートした時も、「従軍慰安婦」という言葉を用いていました。しかし、戦争の時代の文書では、「慰安婦」と出てきます。それで、いまでは、「慰安婦」という言葉を使っています。


■慰安婦関連歴史資料
政府調査「従軍慰安婦」関係文書資料
慰安婦問題とアジア女性基金
慰安所と慰安婦の数 (PDFファイル)
[参考文献]
■アジア女性基金編『政府調査「従軍慰安婦」関係資料集成』第1-5巻、龍渓書舎、1997年
■アジア女性基金編『「慰安婦」問題関係文献目録』ぎょうせい、1997年
■アジア女性基金「慰安婦」関係資料委員会編『「慰安婦」問題調査報告・1999』1999年
■和田春樹「政府発表文書にみる『慰安所』と『慰安婦』――『政府調査「従軍慰安婦」関係資料集成』を読む」、同上
■波多野澄雄「防衛庁防衛研究所所蔵<衛生・医事関係資料>の調査概要」、同上
■高崎宗司「『半島女子勤労挺身隊』について」、同上
■浅野豊美「雲南・ビルマ最前線における慰安婦達――死者は語る」、同上
■倉沢愛子「インドネシアにおける慰安婦調査報告」、同上
■山本まゆみ、ウィリアム・ブラッドリー・ホートン「日本占領下インドネシアにおける慰安婦――オランダ公文書館調査報告」、同上
■大沼保昭・下村満子・和田春樹編『「慰安婦」問題とアジア女性基金』東信堂、1998年
■小野沢あかね「国際連盟における婦人及び児童売買禁止問題と日本の売春問題――1920年代を中心として」、『綜合研究』津田塾大学国際関係研究所、3号、1995年
■方善柱「米国資料に現れた韓人〈従軍慰安婦>の考察」、『国史舘論叢』37号、1999年10月
■吉見義明編『従軍慰安婦資料集』大月書店、1992年
■吉見義明『従軍慰安婦』岩波新書、1995年、英語版、Comfort Women: Sexual Slavery in the Japanese Military ■during World War II, Columbia Univ. Press, 2000 
■吉見義明・林博史編『共同研究日本軍慰安婦』大月書店、1995年
■秦郁彦『昭和史の謎を追う』下、文藝春秋、1993年
■秦郁彦『慰安婦と戦場の性』新潮社、1999年
■蘇智良『慰安婦研究』上海書店出版社、1999年
■蘇智良・陳麗菲・姚霏『上海日軍慰安所実録』上海三聯書店、2005年
■朱徳蘭編『台湾慰安婦調査と研究資料集』中央研究院中山人文科学研究所、1999年、不二出版、2001年
■Chunghee Sarah Soh, From lmperial Gifts to Sex Slavery:Theorizing Symbolic Repre sentation of the ‘Comfort Women', Socia1 Science Japan Journal, Oxford Univ. Press, Vol.3, No.1,April 2000
■金富子・宋連玉編『「慰安婦」戦時性暴力の実態』I、日本・台湾・朝鮮編、緑風出版、2000年
■西野瑠美子・林博史編『「慰安婦」戦時性暴力の実態』II、中国・東南アジア・太平洋編、2000年
■Yuki Tanaka, Japan’s Comfort Women: Sexual Slavery and Prostitution during World War II and the US Occupation, Routledge, 2002
■西野瑠美子『戦場の「慰安婦」』明石書店、2003年
■尹明淑『日本の軍隊慰安所制度と朝鮮人慰安婦』明石書店、2003年
Nobel Peace Prize 2018
ノーベル平和賞公式サイトより

ノーベル平和賞受賞でも日本マスコミは無視…性暴力救済に取り組む ムクウェゲ医師が語っていた日本の慰安婦問題 LITERA 2018.10.06
 今年のノーベル平和賞は、性暴力被害者の治療・救済に取り組んできたコンゴ民主共和国の医師、デニ・ムクウェゲ氏と、イスラム国(IS)から受けた性暴力を証言してきたイラク・クルド民族少数派のヤジディー教徒のナディア・ムラド氏の受賞が発表された。

 授賞理由について、ノルウェー・ノーベル賞委員会のベリト・レイス=アンデルセン委員長は「戦争や武力紛争の武器としての性暴力」の撲滅に両氏が貢献したことを挙げ、「戦時下の性暴力を白日の下にさらし、犯罪者への責任追及を可能にした」と語った(毎日新聞、6日朝刊)。また、アンデルセン委員長は「MeTooと戦争犯罪(との闘い)は異なるが、共通点もある。

 それは虐待の実態と女性の苦しみに目を向け、性被害が恥だという概念から女性を解放し、声を上げることの重要性だ」と言い、〈性暴力根絶に向け、さまざまな立場の者が連帯して取り組む必要性を訴えた〉という(時事通信、6日)。

 かたや日本では、先日発表された内閣改造で、財務省セクハラ問題をめぐり「はめられて訴えられているんじゃないかとか、世の中にご意見ある」と被害者女性を陰謀論で攻撃するなど女性蔑視発言を連発した麻生太郎を副総理と財務相に続投させた上、このセクハラ問題に「#MeToo」のプラカードを持って抗議した女性議員たちのことを〈少なくとも私にとって、セクハラとは縁遠い方々〉と誹謗した自民党・長尾敬衆院議員を内閣府政務官に抜擢したばかり。杉田水脈衆院議員も“セクハラと騒ぐのは魔女狩り”“「#MeToo」運動はもう辞めよう”などと主張していた。

 女性に対する性暴力に対して世界から声があがり、問題と向き合おうという潮流が生まれる一方、むしろ貶める言動をする為政者が盛り立てられるという、この国の現実──。だが、今回のノーベル平和賞は、もうひとつ重要な問題を日本に突きつけている。

 というのも、ノーベル平和賞を授賞したデニ・ムクウェゲ医師は、旧日本軍の「従軍慰安婦」問題を、「戦時下の性暴力」として言及してきたからだ。
 たとえば、2016年に韓国の「ソウル平和賞」を受賞した際のスピーチやメディア取材において、ムクウェゲ医師は「慰安婦」問題について、このように言明した。

「(日本政府は)被害者の要求を受け入れ、許しを求めなければならない」
「(慰安婦は)想像もできない苦痛や暴力にさらされた」
「韓国で正義の回復を求め続けている女性らの力に励まされる」
(共同通信、2016年10月6日付)

 また、同年にムクウェゲ医師が来日した際には、「女たちの戦争と平和資料館」(wam)を訪問。wamのブログによると、ムクウェゲ医師は日本で最初の訪問地として同所を訪れ、日本の「慰安婦」問題の責任を追及するためにおこなわれた民衆裁判「女性国際戦犯法廷」のダイジェスト版を視聴。

 「兵士たちは私の身体になんでもやりたいことをした」という被害者女性の証言を聞いたムクウェゲ医師は、「コンゴでも、その言葉を被害者から何度も聞いた」と言い、“強かんは戦闘資金がかからず、敵に多大な恐怖を与えられるため、戦争の手段として使われている、それをやめさせるには、加害者が誰であるかをはっきりさせ、国家の責任を問うことが重要だ”と指摘し、さらに、「またすぐに来るかもしれない。私たちは共通項がたくさんある」と述べたという。


■ 国連でも「なぜ日本政府は慰安婦被害者が満足する形で謝罪と補償が    できないのか」と
 いま、コンゴで起こりつづけている女性に対する性暴力も、日本による「慰安婦」問題も、同じ戦時下の性暴力であり、国家の責任が問われる問題である──。こうしたムクウェゲ医師の認識は、何も彼だけのものではない。現に、今年8月におこなわれた国連人種差別撤廃委員会での対日審査でも、日本政府の慰安婦問題への取り組みについて、多くの委員から厳しい意見が飛び出した。

 たとえばベルギーのマーク・ボシュィ委員は、2015年の日韓合意について「沈黙を押し付けている」との声があがっていることに言及し、アメリカのガイ・マクドゥーガル委員は「なぜ慰安婦被害者が満足する形で日本政府が謝罪と補償ができないのか理解できない」と批判、韓国のチョン・ジンソン委員も「あらためて日本政府に強調しておきたいのですが、慰安婦問題を否定するいかなる企みをも日本政府はハッキリと非難するよう勧告されていることです。残念ながらここでもそうした否定の動きが見られます」と釘をさした。

 だが、こうした批判に対して日本政府は、委員会でトンデモとしか言いようがない釈明を展開した。なんと、外務省の大鷹正人・国連担当大使が「慰安婦」問題について、日本軍による強制性はいわゆる吉田清治証言と朝日新聞報道が「捏造」した「空想の産物」に依拠しており、日本政府の強制性はないとの言い分は「無視されている」と主張したのだ。

 先進国とされる国の代表として驚嘆するほかない主張だが、当然ながらその後に国連人種差別撤廃委員会がまとめた報告でも、日韓合意は「被害者を中心に置くアプローチが十分でなかった」とし、元慰安婦の被害者たちが納得する解決をと求められた。しかし、この報告に対しても、菅義偉官房長官は「日本政府の説明内容を十分踏まえておらず、極めて遺憾だ」と批判、反発したのである。

 この、恥をさらすような日本政府の認識は、安倍首相の考えに沿ったものだ。実際、安倍は、1997年に自民党右派の若手議員たちで結成された「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」という議員組織の勉強会で、従軍慰安婦の強制連行はなかったとして、こんな発言をしている。

「実態は韓国にはキーセン・ハウスがあって、そういうことをたくさんの人たちが日常どんどんやっているわけですね。ですから、それはとんでもない行為ではなくて、かなり生活の中に溶け込んでいるのではないかとすら私は思っているんです」

 キーセンとは漢字で「妓生」、韓国の近代化以降は料亭での接客女性を指すが、安倍氏発言の文脈では「キーセン」と“娼婦”が同一視されており、そして、その「キーセン・ハウス」=“娼婦館”が韓国社会の日常に「溶け込んでいる」、すなわち“韓国は娼婦国家である”と言い放っているのである。

■ 安倍首相らは「韓国はキーセン国家」「慰安婦問題は朝日の誤報のせい」     と慰安婦問題を矮小化
 さらに、前述した国連での“慰安婦問題のイメージは吉田証言と朝日新聞報道が「捏造」した「空想の産物」”なるトンデモ発言も、安倍首相が繰り返してきた慰安婦問題の矮小化の結晶だ。安倍首相は「吉田証言自体が強制連行の大きな根拠になっていたのは事実ではないか、このように思うわけであります」(2014年10月3日、衆院予算員会)などと国会で繰り返し吉田清治証言を槍玉にあげて、「慰安婦」問題の矮小化言説をがなりたててきた張本人だからだ。

 総理大臣自らが「慰安婦」問題を歪曲し、「被害者の声に耳を傾け謝罪と補償に応じるべきだ」という国際的な意見を無視する──。いや、それは安倍首相や政府の見解だけではない。先日も、自民党の杉田議員や和田政宗参院議員、片山さつき地方創生担当相らと関係があった右派系市民団体「「慰安婦の真実」国民運動」幹事の藤井実彦なる人物が台湾で慰安婦像を蹴りつけるという事件が起こったばかりだが、「慰安婦は捏造だ!」などと主張する極右団体やネトウヨが幅を利かせ、「慰安婦」問題に言及した歴史教科書を採択した学校に対して抗議の葉書が殺到しているのが、この国の惨状だ。

 そして、こうした極右団体やネトウヨからの抗議を過剰に恐れ、メディアも「慰安婦」の問題を真正面から取り上げようとはしない。実際、前述したムクウェゲ医師のwam訪問時には、NHKやTBSが取材に訪れていたというが、wamのブログによれば、wamでのムクウェゲ医師のコメントは〈まったく報道されなかった〉という。

 今回のノーベル平和賞授賞のニュースでも、ムクウェゲ医師による日本の「慰安婦」問題に言及したコメントを伝えているメディアは、いまのところ見当たらない。「慰安婦」問題との共通性を指摘するメディアすら、朝日新聞と毎日新聞をのぞけばほとんどない。

 ノーベル委員会は、今回の授賞について「女性の基本的な権利や安全が守られない限り、より平和な世界は実現されない」と述べている。過去の歴史から目を背け被害者女性を貶めつづける、そんな国に、現在進行形で起こっている女性に対するセクハラや性暴力、人権侵害の問題に取り組むことなどできないだろう。 (編集部)
【出典】LITERA 2018.10.06
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