映画「Z」 1969年 - コスタ・ガブラス Costa Gavras -
<あらすじ>
某国の革新政党指導者(イブ・モンタン)がある夜謎の死を遂げます。警察は自動車事故によるものと発表しましたが、不審に感じたある予審判事(ジャン・ルイ・トランティニャン)が真相究明に乗り出します。彼は左派でも右派でもない中立の立場で独自の調査を行い、死体の後頭部には殴られた痕があり、死因はその衝撃によるものであることも明らかになります。被害者は当初演説をする予定だった場所を、何者かの指示により直前に変更させられていたことも明らかになりました。
なぜ、誰が場所を変えさせたのか?そして、誰が被害者を殺害したのか?
捜査を進めるに従い、その事件の裏には検察庁長官らによる大掛かりな陰謀があったことが明らかになってきました。国家規模の企みに迫るにつれ、判事の身にも危険が迫ります。真実を明らかにすることはできるのか?
<政治的映画の専門家>
政治問題を扱った映画を得意とする映画監督は、昔から多くはありません。社会問題を扱うことを得意とする監督なら、シドニー・ルメット、オリバー・ストーン、エリア・カザン、アンジェイ・ワイダ、フレッド・ジンネマン、ロベルト・ロッセリーニ、アーサー・ペンなどを挙げることができます。しかし、あくまで政治問題となると、この作品の監督であるコスタ・ガブラスに匹敵する監督は同じギリシャ出身のテオ・アンゲロプロスぐらいしかいないでしょう。民主主義の国アメリカでは、「大統領の陰謀」のアラン・J・パクラが近いくらいでしょうか。 自分の国の政治ですら、なかなか把握できていない観客を前に見知らぬ国の政治問題を理解させ、なおかつ主人公に感情移入させるのですから「ボーイ・ミーツ・ガール」映画とはわけが違います。そんな離れ技を見事にやってのけたコスタ・ガブラスの代表作「Z」は、未だまったく古くなることなく輝きを放ち続けています。しかし、それは残念なことに「Z」に描かれた軍事政権によって管理された社会が21世紀の地球上に未だ数多く存在していることの証でもあります。
<鉄のカーテンの下で>
1963年5月ギリシャのアテネ大学の教授で左派の国会議員だったグレゴリウス・ランブラスキ氏が米原子力潜水艦の寄航に反対する集会で演説した後、交通事故による突然の死をとげました。当時のギリシャは、ソ連そして東欧の共産圏に対する反共の盾としての役目を負わされて、アメリカの支持を受けた右派が政権を握っていました。そのため、この謎の事故の裏には、政府の関与があるのではないか?という噂が広がっていました。ギリシャを逃れパリに亡命した作家のヴァシリス・ヴァシリコスはこの事件を調査し、それをもとに「Z」という架空の国を舞台にした小説を書き上げました。したがって、この映画はギリシャを舞台にして起きた限りなく真実に近い物語と考えられるわけです。 当然、ギリシャ政府はこの映画をギリシャ国内で上映禁止処分としましたが、それは自らこの映画が描いている事件への関与を認めたことになるようにも思えます。 1960年代初め、世界は「鉄のカーテン」によって大きく二つに分断されていました。そして、その中で最も悲劇的な立場にいたのが「鉄のカーテン」の目の前に暮らす人々でした。アジアでは朝鮮半島、インドシナ半島。南米ではニカラグアなど中米地域。そして、ヨーロッパではバルカン半島、そしてこのギリシャは当時常に紛争に見舞われていました。 ギリシャは、1930年代から1940年にかけては軍事独裁政権によって支配され、第二次世界大戦中はドイツによる支配を受け、解放後はイギリスを中心とする占領軍の支配下となり、独立後はすぐに右派、左派が対立する紛争が勃発。この後、1967年には再び右派軍事政権による支配が始ることになります。当時は、まさにその混乱の真っ最中だったわけです。 この時代のギリシャについては、同じギリシャ出身の監督テオ・アンゲロプロスのギリシャ現代史三部作「1936年の日々」(1972年)、「旅芸人の記録」(1975年)、「狩人たち」(1977年)によって詳しく描かれています。
<コスタ・ガブラス> この映画の監督コスタ・ガブラス は、1933年ギリシャのアテネで生まれました。父親は政府の役人でしたから、元々政治との関わりがあったわけです。18歳の時、パリのソルボンヌ大学に入学。この頃から映画館に入り浸るよういになり、大学を中退して映画高等研究所に入り、本格的に映画監督への道を歩み始めます。ルネ・クレマンやジャック・ドゥミーらの助監督をつとめた後、1965年「七人目に賭ける男」で監督デビューを飾りました。「Z」は彼にとって3作目の作品でしたが、イヴ・モンタン、ジャン・ルイ・トランティニャン、ジャック・ペランをはじめ多くの大物俳優たちが出演しています。それは俳優たちのほとんどがファシズム的なギリシャの右派政権を糾弾する作品の趣旨に賛同し、低予算の作品にも関わらず出演を志願してくれたからでした。 彼の作品すべてに共通するのは、政治的なテーマを扱いながら、そのストーリー展開にはサスペンス映画の要素を強く感じさせることです。「Z」の場合も、謎の死をとげた議員の死までの数時間を過去に戻りながら少しずつ明らかにしてゆくことで観客を謎解きに参加させ、ラストまでぐいぐいと引っ張ることに成功しています。もしこの映画に描かれている事件がまったく架空のものだとしたら最高級のサスペンス娯楽映画ととらえることも可能なのです。 そして、もう一つ彼の作品には反ファシズムではあっても、けっしてひとつの偏った思想信条に、基づいてはいない客観性が保たれているということです。「Z」の場合も、謎を解く予審判事はけっして左派でも右派でもありません。あえて観客と同じ目線となるよう意識的に客観的な立場の人間を主人公に選らんだのでしょう。そうすることで観客は、ごく自然に映画に感情移入することができるのです。 彼の「ファシズムと闘う姿勢」と「娯楽性と客観性」にこだわる姿勢は、1982年アメリカ資本による映画「ミッシング」を生み出すことになります。左派よりとも思える作品「告白」(1970年)、「戒厳令」(1972年)を撮った彼が、そこで描かれているファシズム政権の後ろ盾でもあるアメリカで映画を撮るようになるというのは意外な気もします。しかし、「反ファシズム」の姿勢についてだけはアメリカは、右派、左派基本的にいっしょです。(少なくとも表面的には・・・)
そんなわけで、1982年の「ミッシング」以降、彼はアメリカを舞台に活躍することになります。
アメリカが敵と戦わせる為、軍事訓練した現地人が、新たな武装組織のリーダーになる。
イスラム過激派は何度叩いても新たに誕生し、恐らくISISが滅んでも次が生まれるでしょう。
イスラム過激派が増えるように、軍事訓練をして武器を与え、過激思想を植えつけている国があり、それはアメリカでした。
無限に沸く「イスラム過激組織」の謎
最近急にイスラム国ことISISの話題を耳にしなくなりました。
2015年10月から3月まで行われたロシアによる空爆で、かなりの打撃を受けたと言われています。
組織は資金源を絶たれ、指揮が低下し統率が乱れていて、以前のような攻勢が見られません。
一連の出来事によってISISがどうやって成長し、誰が彼らを助けたのかがはっきりしました。
ISISを誕生させたのも、成長を助けたのも、アメリカだったのが分かっています。
ISISの前身はイスラム過激派のアルカイダで、アルカイダに軍事訓練を施したのはアメリカ軍でした。
アメリカがイスラム過激派を育てた話を最初からすると、カーター大統領の間違った政策が原因でした。
カーターは「アメリカ大統領史上最悪のバカ」と言われ、非武装、平和、中立、話し合いで何でも解決すると言っていました。
1976年のアメリカ人はベトナム戦争敗戦で疲れ切っていて、「誰でも良いから戦争をしない大統領を」と望んでカーターを大統領にしました。
カーターはソ連や中東政策でも平和主義で臨み、世界からの米軍の撤退を進めました。
カーターは中東から米軍を撤退させる政策を進め、撤退したらソ連がアフガニスタンに侵攻しました。
カーターは「非人道的」とソ連を責めたが軍事的には当たり前で、例えば沖縄から米軍と「日本軍」が撤退したら中国軍が攻めてきたような話でした。
アメリカ軍が地方組織を育成し武装過激派にした
アメリカは核保有国と戦争をしない方針の国なので、アラブ人を戦闘訓練して、ソ連軍と戦わせました。
この時、なぜアラブ人がソ連と戦うのかという動機付けにでっち上げたのが「イスラム原理主義」「聖戦」のような過激思想でした。
アルカイダやISISは思想から装備、戦闘訓練から組織体系まで、アメリカが訓練して育て上げたのです。
アルカイダは強い軍隊に育ち、1989年にソ連軍はアフガンから撤退しました。
この後のアメリカの行為が後に大問題を起こすのですが、何の面倒も見ずに用が済んだから捨てたのでした。
アメリカに捨てられたアルカイダは武装組織として、聖戦を継続し、アラブを侮辱したアメリカに標的を定めました。
こうして起こったのが2001年NY同時多発テロで、アメリカの内輪の話で、自業自得です。
ブッシュ大統領は復讐だと言ってアフガニスタンに攻め込み壊滅させたが、その後また用が済んだら放置しました。
平和主義のオバマ大統領は2013年に米軍を撤退させ、すぐにISISが米軍に代わってシリアやアフガンを占拠しました。
こうなった原因もまたアメリカ軍にあり、米軍はイラクやアルカイダを倒すため、またもや現地の村人らに軍事訓練しました。
イラク戦争が終わるとまた用済みになって現地に置き去りにし、武装組織はアルカイダやISISに合流していきました。
最近またアメリカは、ISISを倒す為に、現地の人々を軍事訓練して武器を渡し、有志連合と称しています。
米軍やCIAが育てた現地兵は武装組織の指導者になり、新たなイスラム戦闘員を育てる。
何度でも同じ間違いを繰り返すアメリカ
この有志連合に加わっている武装組織が5年後にどうなっているかは見ものです。
ISISが滅んだらアメリカは有志連合をゴミのように捨てるし、捨てられた武装組織は必ず過激化します。
こうしてアメリカが育てたイスラム過激組織が、アメリカに牙を向いて戦っているのでした。
アルカイダもISISもイスラム過激派も、元々はアメリカ軍の仲間で、日本が深入りする必要は全くないです。
今度戦争になったら、せいぜい要請に応じて物資輸送でもすれば良いのではないでしょうか。
アメリカ人は戦わず、現地人同士を闘わせて消耗させるという「高度な戦略」らしいですが、世界に混乱を広めています。
(写真) katolerのマーケティング言論
20世紀の社会を大きく揺るがし、21世紀に入ってからは社会を根本的に破壊しかねない巨大な存在となった「テロリズム」。時代とともに危険なものとなりつつある「テロリズム」とは何なのでしょうか?
それは非常に定義付けが難しい言葉です。それは、「テロリズム」という言葉が他者によるラベリングによる、呼称だからかもしれません。意外なことかもしれませんが、自ら「テロリスト」と名乗る「テロリスト」はいないのです。そのうえ、そのラベリングの規準は人、国家、組織、それぞれの立場によって異なります。誰が「テロリスト」なのかは、それぞれの立場により、それぞれの時代により異なるのです。
アメリカでは、「恐怖をおしつけるための計算した暴力行為あるいは、その脅しで、政府や社会を弾圧あるいは脅す意図のもとに行なわれる」と言われ、イギリスでは「政治的、宗教的、イデオロギー的行為を目的に、人あるいは財産に対する重大な暴力の行使あるいは脅し」と定義されます。
当然、お国の事情や政府の都合、大衆の思いにより、必然的に異なる対応をすることになるわけです。中でも国家の立場からすると、国家のみがテロに対する力の行使を行なう権利を有していると考えられています。それは、「暴力行為の正当な独占」と定義されています。
しかし、反政府活動をする側にとっては、そうした見方はまったく逆になります。だからこそ、その立場は時に逆転することもあるわけです。 例えば、ロシア革命のように、かつて反政府テロ活動をしていた側が政権を獲得することもありえるのですから。歴史の変化によって、「テロ活動」は「革命」や「独立運動」の過程として肯定的に扱われるようになる可能性もあるのです。それだけに、「テロリズム」を定義することは非常に難しいのです。
(写真) ベトナム戦争 - Wikipedia
「戦争」と「テロリズム」の区別もまた困難です。一般的に「戦争」は国家間の争いであり、「テロリズム」は国家に対して弱者である国内の反体制勢力が抵抗するための一手段と見られています。ただし、それもまたゲリラ戦という本格的な戦闘行為に近い存在となると、それは「戦争」と呼ぶべきでしょう。(ベトナム戦争やキューバ革命は、そうした例の大型化したものです)基本的に「テロリズム」と「戦闘行為」とは別ものです。
それは軍隊を相手にした戦闘ではなく、一般市民や政治家など非戦闘員を標的とした一方的な暴力的行為といえます。
その目的は、戦闘によって政権を奪うのではなく、一般市民に恐怖を与えることで体制の基盤を揺さぶり、政権を崩壊させることにあります。 例えば、アイルランドの有名な反政府軍事組織「IRA」は、あくまで戦闘組織としてテロ活動も行なっていました。しかし、同じ目標をもつ政治組織として別にシンフェイン党という政党があり、そこでは政治的な活動を担当。 二つの組織の役割ははっきりと分けられ、両方が活動することでアイルランドの改革を目指していました。しかし、長い長い紛争の歴史が続く中、結局テロ行為だけでは社会を変えることはできませんでした。アイルランドに平和が訪れるのは、1990年代にIRAが活動を終結してからになります。
(写真) ISIS「我々を攻撃する国の市民を皆殺しにせよ」
なぜ、テロリストたちは一般市民に恐怖を与える手段を選ぶようになったのでしょうか? 1880年代のアナーキスト、ヨハン・モストは自らの著書「爆弾の哲学」の中でこう記しています。
1. 異常な暴力は人民の想像をつかむ。 2. そのとき人民を政治問題に目覚めさせることができる。 3. 暴力には固有の権限があり、それは「浄化する力」である。 4. 体系的暴力は国家を脅かすことができ、国家に非正統的な対応を余儀なく。 5. 暴力は社会秩序を不安定化し、社会的崩壊に追い込む。 6. 最後に人民は政府を否定し、「テロリスト」に頼るようになる。
社会を変えるための「革命」において、一時的にテロという手法が用いられたことはあるものの、最終的にそれによって社会が改善されたという例はありません。歴史は、この考え方が間違いであったことを実証しています。
9・11同時多発テロ事件の際、アメリカの大統領顧問カレン・ヒューズはこういいました。 「彼らはわれわれを憎んでいる。われわれが指導者を選挙で選んでいるからだ」 イスラムのテロリストは、「民主主義」=アメリカ国民と考えているからこそ、無差別なテロ事件を起こすのだと、アメリカ人は思いたいのです。もちろん、回答はそんな簡単なものではないはずです。しかし、多くの人は「テロリズム」とは理解不能な存在と考えていて、「理解」よりも排除することの方が重要と考えています。それが今の世界の現状でしょう。
それどころか、9・11以降、テロリストについて理解しようとすることは、テロに屈することであり、テロリストに協力する行為だと見られるようになったともいえます。しかし、本質的には理解することができなくても、なぜ理解できないのかを知るところまでは迫ることは無駄ではないはずです。
残念ながら世界からテロがなくなるとは思えません。それどころか、放っておけば21世紀の世界はテロによって終末を迎える可能性さえでてきました。現状では、テロとの共存を模索し、その流れを食い止めることしかないと思います。 「テロリズム」とは、巨大な権力に対して反抗するために、弱者が選んだ最終手段という見方があります。確かにそれはテロについての一般的なイメージといえそうです。しかし、テロについてのそうした考え方は実はまったく不十分なものです。
「テロ」とは、「弱者が選んだ最終兵器」である以上に「権力が行なう恐怖政治の道具」だというのが20世紀の現実だったのです。そのことを理解しながら、「テロリズム」の本質に迫りたいと思います。そのために、先ずはテロリズムの起源にさかのぼり、そこから始めてみたいと思います。
(写真) フランス革命前の様子を風刺した絵
「テロリズム」という言葉は、今から200年以上前1798年、フランスでアカデミー・フランセーズが当時の暴力的な政治を「恐怖(Terror)のシステム、体制」と定義したことが起源といわれています。それは1792年から始まったフランス革命後にロベスピエールらによって行なわれた「恐怖政治」によって生み出された言葉だったのです。
(写真) フランス7月革命 - Wikipedia
革命によって、歴史上初めて「共和制」を導入したフランス政府は、国内の混乱状態に乗じてヨーロッパの他の国が侵攻してきたり、国内において反乱が起きることを恐れていました。そのため、政府は反対勢力を押さえ込むだけでなく、一気に取り除くための専守防衛的な政策を実行に移します。
それは反政府的な言動をとった人間を問答無用に逮捕し、リンチや拷問によって痛めつけて仲間を白状させた後、ギロチンにかけて処刑するという残虐このうえない手法でした。この異常な政策の犠牲となった国民は、一万人に及んだといわれています。
「テロリズム」の原点は、権力に反抗するために行なわれた現在の「テロ行為」とは異なるものであり、統治のための手法として生み出されたものだったのです。それは「支配のためのテロ(Regime of Terror)」と呼ぶべき存在でした。そして、この「支配のためのテロ」すなわち「権力機構によるテロ」は、その後も歴史上何度となく現れることになります。
そして、その多くは少数派、反対派を抑えつけるための脅迫を目的とするテロだったといえます。そうした国家による「支配のためのテロ」が究極の形に進化したものとして有名なのは、ドイツのナチズムで有名になった「ジェノザイド(民族浄化)」という名のテロリズムです。
ナチス・ドイツによるユダヤ人の虐殺にスターリン体制下のソ連が行なった反体制派とユダヤ人の大虐殺。その他にも中国国内各地で行なわれてきた少数民族に対する弾圧と虐殺。20世紀の歴史において「国家によるテロ」が最も多くの被害者を出しているということ、このことは非常に重要な事実であり、忘れてはいけないことだと思います。
チリ、アルゼンチン、ペルー、ブラジル、それにギリシャなど、かつて軍事政権が支配していた国々では、1950年代から1960年代にかけて左翼の活動を抑え込むために軍と警察、そしてその下部組織によって暴力による抑圧政策が暗黙のうちに行なわれていました。当時、行なわれていた拷問や処刑の残虐さについて、アムネスティーの調査がこう記しています。
「拷問には、電気ショック、殴る、叩く、酸やタバコで火傷させる、長時間起立、長時間フードで覆う、独居監房に閉じ込める、爪をはぐ、睾丸を握り潰す、性的暴行、水攻め、首絞め、刑の執行の模擬実験が含まれ、・・・・・さらに他人の拷問に立ち合わせた」
書いていても気分が悪くなってきますが、これらの拷問は、つい最近までキューバのグァンタナモ米軍基地でアルカイーダらしき容疑者たちに行なわれていたことと大差ありません。もちろん、それは軍の一部の関係者が勝手にやったこととされていますが、それこそ見てみぬ振りの「放し飼いテロリズム」そのものです。
21世紀に入ってもなお、「支配する側」もしくは「権力をもつ側」による「放し飼いのテロリズム」は続いているのです。(これら「放し飼いのテロリズム」は、多くの映画や小説でも取り上げられています。(「Z」はギリシャの軍事政権がモデル、「サンチャゴに雨が降る」はチリで起きた軍によるクーデターと虐殺のドキュメント、「未来世紀ブラジル」は近未来SFとして・・・)
(写真) (トマス・ハウザー著、古藤晃訳『ミッシング』より)
世界で初めて自由選挙によって合法的に選出された社会主義政権を、軍部が武力で覆した事件 (日本の自民党と公明党はチリ軍事政権を支持した)
「テロリズム」という闇の存在が、フランス革命という民主主義の誕生とともに現れたというのは実に皮肉な事実です。しかし、現在我々が「テロリズム」と一般的に考える「反体制側によるテロリズム」が世界的な広がりをみせたのは、意外に最近のことです。
第一期テロリズム時代とも呼ばれるのは19世紀後半のことです。ヨーロッパにおいて、テロリズムは「アナーキスト(無政府主義者)」という言葉とともに「思想」として確立されています。なかでも、ロシアにおいて、その思想は社会主義闘争と結びつき、1887年には皇帝アレクサンドル3世の暗殺未遂事件が起き、アレクサンドル・ウリヤノフがそのメンバーとして逮捕、処刑されました。
なぜアレクサンドルらの反逆者たちは自らの命を賭けてまで皇帝を暗殺しようとしたのか?その理由を知った彼の弟は自らも兄の意思を継ぎ、革命による社会の変革を目指すようになります。そうして、彼はロシア革命における偉大なカリスマ指導者として歴史にその名を残すことになります。
その人物こそ、ウリジミール・レーニンでした。革命という社会変革運動の多くは、当初は圧倒的な力の差の元で「テロ」による反抗から始まったものだったといえます。「ロシア革命」の場合も、当初はごく一部のインテリ階級の人々によるテロ活動が発端となり、その後大衆参加による運動へと発展することになりました。
(写真) ロシア革命 2月革命にてツアーリ(皇帝)の警察隊を攻撃する革命部隊。
ロシアの歴史 - Wikipedia
「ロシア革命」の後、世界は「第一次世界大戦」と「第二次世界大戦」など大きな戦争の時代に突入、終戦後、世界各地で独立戦争が始まることになり、その中で資本主義陣営と共産主義陣営がそれぞれの勢力圏を広げようと各地で戦争が起こる時代へと移り変わりました。そうした状況の中、世界各地で新たなテロリズムが誕生し、大きな拡がりをみせることになります。
(写真) キューバ革命の英雄チェ・ゲバラ(中央)
新たなテロリズムともいえる「都市を舞台としたテロ」、それは支配する側の「放し飼いテロリズム」に対抗するために必然的に生まれたといえます。 1960年代にその舞台となったのは、中南米の都市でした。その中心人物の一人、ブラジル革命的共産党の設立者カルロス・マリゲーラは、チェ・ゲバラの死に象徴されるように農村部での革命運動が行き詰まっていたことから、新たな革命運動の舞台を都市部に移し、そこで爆弾による破壊活動や要人の誘拐を行なうゲリラ活動を展開し始めます。
ただし、そうしたゲリラ戦法は、それだけで革命を勝利へと導く力は生み出せませんでした。都市部で身を隠すことは難しく、長期間にわたって市民から支援を受け続けることは、さらに困難なことでした。そのため、彼らのゲリラ活動は次第に大衆から見えない場所、地下へと潜らざるを得なくなってゆきました。 革命運動の沈静化とともに、そうした傾向は世界中に拡がり、ラテン・アメリカ以外のヨーロッパ、アメリカ、日本など先進国での左翼活動は、地下により深く潜ることになり、同時にその活動もより過激になってゆき、それぞれのグループが内部分裂を繰り返すようになってゆきます。それが「セクト・テロリズム」とも呼べる1970年代以降の新たなテロリズムの源泉となってゆきます。
(写真) テルアビブ空港乱射事件(1972年) 日本赤軍によるテロ事件。
日本では全学連のような学生全体を巻き込んだ左翼活動は1970年代に入るとその方向性を失ってゆき、それでもなお、「革命」を目指すグループが分離独立し、より過激化してゆきました。
その代表格が、テルアビブ空港での乱射事件で世界にその名を知られることになる日本赤軍で、彼らにとっての「革命」は、もう日本という狭い舞台ではなく「世界革命」こそが目標となっていました。
同じように過激化しながらテロ事件を起こすことになるグループとしては、ドイツでキリスト教民主党党首アルド・モロ氏を誘拐し殺害したイタリアの「赤い旅団」や同じくドイツで元ナチ親衛隊の実業家を誘拐し殺害したドイツ赤軍派などがいました。彼らは真面目にテロ活動によって大衆を目覚めさせることができると考えていたのです。
「武装闘争を実行することが国家に対する闘争の性質を人民に意識させることになると信じている」 ウェザー・アンダーグラウンド「プレイリー・ファイヤー」(1974年)より
しかし、現実にはこの時期、大衆と左翼の活動は決定的に分裂。彼らの向かう先は、より過激なハイジャック事件や爆弾テロ、一般市民を標的とした銃の乱射、そして、最後には連合赤軍による総括事件(メンバー内での派閥争い、内部抗争により、裏切り者と見なされたメンバーが処刑されてゆきました)のような内部崩壊しか残されていませんでした。
(写真) ISIS(イスラム国)の兵士
これまでの歴史を振り返ると、テロリズムによって、社会が改善されたり平和が訪れたことはありません。その運動は、途中から平和的な大衆運動へと変わることで初めて、成功することが可能になるのでした。
テロリズムは街を破壊し、社会を破壊すると同時に人と人の絆、さらには人の心までも破壊することで長い期間にわたり修復することのできないトラウマをその地域に残すことになりました。
「20世紀には多くの民族解放闘争が成功した。そこには重要なテロ戦術を取り入れたとは、テロリズムだけで成功闘争はない。そのうえ、1970年代、80年代の都市ゲリラ、例えばドイツ赤軍派やイタリアの赤い旅団などテロを最も純粋に信望したグループは、最も顕著に敗北した。彼らのテロの結果は、歴史が示してきた通り、国家転覆どころではなく、国家と治安の強化そして自由の低下をもたらした。・・・・・」 チャールズ・タウンゼンド著「テロリズム」より
そして、21世紀の今、テロリズムはより巨大でより無差別大量殺戮を可能にした危険なものへと変貌をとげています。そこには世界を改善しようという信念はなく、ただ憎むべき他者を抹殺しようという「憎しみ」だけが存在しているのです。
【出典】 テロリズムの歴史 - 「恐怖政治」から日本赤軍へ -
by Pop Culture of 20th Centure
[参考資料]
「テロリズム」チャールズ・タウンゼンド(著)宮坂直史(訳)岩波書店
<関連するページ>
北アイルランド紛争の歴史 イスラム原理主義からアルカイーダへ
<テロに関する文章>
テロリストと不良は同じもので、不良対策は「全滅させること」ではなくて、「なぜ不良になったの?ほんとは、不良になんかなりたくなかったんだろう?」と言って、元の自分に戻すことだろう。
橋本治(著)「このストレスな社会!」より
「テロリスト」というのは、「全滅させればいいもの、全滅させていいもの」と考えられている。そして「テロリスト」には、「帰属する国なんてない」と思われている。
じゃ「帰属する国を追われて、テロリストにならざるをえなくなる人」はどうなるんだろう?
「テロリストを殲滅する」として、その結果、周辺住民を傷つけて、「テロリストになる」という方向へ追いやっていることに気がつかなかったら、どうなるのだろう?それは、「国土に帰属する国民をも皆殺しにする」という方向に進みかねない。
橋本治(著)「このストレスな社会!」より
ヒトラー 権力掌握への道 前編
近現代史上前例のない組織的な大量殺りくを行ったアドルフ・ヒトラーとナチス。なぜ、これほど人種差別と憎悪に満ちた一人の男がドイツを支配し、社会全体を凶暴化し得たのか。1919年の第一次世界大戦後からナチスの独裁体制が確立するまでのおよそ20年間に焦点を当て、その真相を明らかにしていく。二つの大戦に挟まれた20世紀前半ヨーロッパの映像をカラーで再現した2回シリーズ。前編では、ドイツの伝令兵として第一次世界大戦に参加したヒトラーが、敗戦後、急進派の指導者として登場する1920年代末までを描く。
第一次大戦で伝令兵として塹壕を駆け回ったヒトラー。敗戦後のドイツの悲惨な状況が、彼の強いドイツへの思いと政治に関わりたいという欲求を後押しする形となった。軍の情報部員として働きながら反ユダヤ主義、反資本主義に傾倒し、その後、過激な演説で一目置かれるようになっていく。1928年の議会選挙でナチスの得票はわずか2%。しかし、その状況は翌年の「世界恐慌」で一変することになる。 ヒトラーの生い立ちやウィーンで芸術家を目指し挫折した青年期、さらに憎しみや怒りの感情を煽って大衆の心を掴む演説やジェスチャーの訓練を重ねる様子も綴られる。
原題:APOCALYPSE HITLER
制作:CC&C/France 2 (フランス 2011年)
ヒトラー 権力掌握への道 後編
近現代史上前例のない組織的な大量殺りくを行ったアドルフ・ヒトラーとナチス。なぜ、これほど人種差別と憎悪に満ちた一人の男がドイツを支配し、社会全体を凶暴化し得たのか。1919年の第一次世界大戦後からナチスの独裁体制が確立するまでのおよそ20年間に焦点を当て、その真相を明らかにしていく。二つの大戦に挟まれた20世紀前半ヨーロッパの映像をカラーで再現した2回シリーズ。後編では、世界恐慌をきっかけにナチスが躍進し、ヒトラーが権力の座に上り詰めるまでを描く。
世界恐慌によってドイツでは失業者が溢れかえり、ナチスが人気を集めていく。1932年、ヒトラーは大統領選挙に打って出て敗れるものの、議会選挙で第一党となり、着実に勢力を拡大していく。1933年1月30日、ヒンデンブルク大統領はヒトラーを首相に任命。翌年、ヒンデンブルク大統領の死去により、ヒトラーは名実ともにドイツの頂点に立つ―。 溺愛していた姪の自殺、愛人となるエヴァとの出会いなど、ヒトラーの私生活も語られる。
原題:APOCALYPSE HITLER
制作:CC&C/France 2 (フランス 2011年)
閣僚を名指しで批判(中央がデビッド・ケイ氏)/(C)日刊ゲンダイ
安倍政権にしたら「厄介者がやっと帰ってくれた」というところじゃないか――。日本における「表現の自由」を調査するため、国連人権理事会から“特別報告者”に任命されたデビッド・ケイ氏(47=米カリフォルニア大アーバイン校教授)が、1週間の滞在を終え、19日米国に帰国した。
本来は昨年12月に来日するはずだったが、直前に日本政府が「来秋への延期」を要求。これに対し、「国連の調査を妨害するのか」という批判が世界中で高まり、今回、予定が前倒しされたという。
ケイ氏は、19日帰国直前に外国特派員協会で会見。政府の“ドタキャン”の経緯について質問されると、こう説明した。
「昨年11月、日本の外務省から『予算編成作業があり十分な受け入れ態勢が取れない』と説明があった。本当の理由はそちら(日本のマスコミ)で政府に聞いて欲しい」
ケイ氏は特定秘密保護法、放送法、記者クラブ制度の弊害などにも言及。
「事前調査した上で来日したが、実際にジャーナリストや官僚にヒアリングして、日本メディアの独立性についてむしろ懸念が強まった。特定秘密保護法は秘密の範囲が広過ぎる。情報を制限するとしても、もっと透明性の高い形ですべきだ。記者クラブ制度は、調査ジャーナリズムとメディアの独立性を制限しようとしている」
ケイ氏の批判の矛先は安倍政権の閣僚にも向く。菅官房長官を名指しし、「自分の放送法の解釈に従わない番組があることを、オフレコ懇談で批判したと聞いた」と暴露。電波停止の可能性をチラつかせてテレビ局をドーカツしようとした高市総務相についても、「何度も会いたいと申し入れたが、国会会期中などを理由に断られた」と批判した。
会見を取材したジャーナリストの志葉玲氏はこう言う。
「ケイ氏が予定を前倒しして来日したのは、日本メディアの危機的現状を強く危惧しているからでしょう。どうしても参院選前に調査したかったのだと思います。『ジャーナリストのパスポートを没収しないように』と、外務省に提案したと言っていましたが、安倍政権になってからのメディア規制はひど過ぎます。ケイ氏から逃げ回り、説明責任を果たさなかった高市総務相はサイテーだと思いました」
くしくも今日、非営利のジャーナリスト組織「国境なき記者団」の「報道の自由度」ランキングが発表された。
2010年、日本は過去最高の11位まで順位を上げたが、安倍政権になった途端に急落し、昨年は過去最低の61位。そして今年は72位と、さらに順位を下げた。当然か。
【出典】日刊ゲンダイ 2016年4月20日
2016年1月15日午前1時55分頃、長野県・軽井沢町の国道18号、碓氷バイパスの入山峠付近(群馬県・長野県境付近)で、定員45人の大型観光バスが、ガードレールをなぎ倒して道路脇に転落した交通事故があり、乗員(運転手2人)乗客41人中、15人が死亡(運転手2人死亡)、生存者も全員が負傷、バス事故としては1985年の犀川スキーバス転落事故以来の過去30年で最多の死者が出る事故となりました。
事故の原因は、テレビ等で解説されていいますが、まず、一般論として『輪禍の三要因 』について述べておきます。
今回の事故に限らず、毎日のように、悲惨な交通事故が多発しております。
しかし毎度の事ながら、警察の原因調査によって、ドライバーの「わき見運転 」、「スピードの出し過ぎ 」、「ハンドル操作の誤り 」などの理由で処理されてしまい、しかも総てドライバーの責任にされてしまう場合が多いのが現実です。
しかし、それでは、国道や道道、市町村道の各所に設置している事故多発地帯の看板 に矛盾があると思います。つまり「交通システム 」にも事故の原因があるのは当然です。例えば、スピードを出し過ぎても事故を起こさないドライバーと、スピードを出さなくとも事故を起こすドライバーが存在するのは何故でしょう。
事実、時速40km以下での交通事故が最も多い のをどう説明するのでしょうか。警察は、交通事故をドライバーだけの責任として簡単に処理してはいないのか。これでは、いつまで経っても輪禍は減らないし、逆に輪禍が増え続けるのは間違いないでしょう。
かつて、NHKの交通事故防止キャンペーンにおいても「危険なのは、クルマではなく、運転するドライバーである」と印象づける放送をしていました。
また、「時速40kmではカーブを曲がり切れても、時速50kmでは曲がり切れない」などと「速度のみを基準 」として事故を起こす確率を判断しているから呆れてしまいます。
クルマというのは、1人乗車と4人乗車、車高や形状、路面や気候など、あらゆる条件で、ドライバーの運転操作とその結果(速度や方向など)に至るクルマの特性が大きく変わってしまうのです。
つまり、速度だけではなく、「クルマの重量 」によって、1人乗車ではカーブを曲がり切れても、4人乗車では曲がり切れない場合もあります。
北海道では、冬季になるとスリップ事故が多発します。いわゆる冬型事故です。そして、いつも犠牲になるのは、老人や子供などの交通弱者なのです。
国や道(県)の道路管理者は、それが分かっているにも関わらず、何故スリップ事故対策をしないのか、非常に疑問です。
たとえば、事故多発地帯を融雪剤やロードヒーティングなどで整備すれば、スリップ事故が減少するのは当然です。
スタッドレス化による「ツルツル路面」や「アイスバーン」は、いくらタイヤの性能が良くても、タイヤの形状自体がその原因になっているため「交通システム 」の改善をしない限り絶対に解決できません。
以上のように、交通事故は「ドライバーの技量 」と「クルマの構造 」そして「交通システム 」の三要因が重なり合って起こるのです。更に冬期においては、夏場以上の「予見運転 (ドライバーの技量に含まれる )」が要求されるというわけです。
一般的に、若年ドライバーは、無謀運転によるスピードの出しすぎで、ハンドル操作を誤り事故を起こしやすく、高齢ドライバーは、ノロノロ運転で判断力が鈍いため事故を起こしやすい、などと認識されている方が多いようですが、これは若年と高齢ドライバーの対称的な特徴ではなく、実は共通点 なのです。
スピードの出し過ぎと、ノロノロ運転で判断力が鈍いのが、なぜ共通点なのかと言いますと、若年ドライバーと高齢ドライバーの共通点として挙げた、次の
【事故を起こしやすいドライバーの特徴 】3点の中の「1.過渡特性 (定常状態から別の定常状態に至る過程)や定常特性 (安定に保たれている状態)が劣る」に該当するからです。
【事故を起こしやすいドライバーの特徴 】
1.過渡特性や定常特性が劣る 。2.予見能力が低い 。 3.協調性が低い 。
過渡特性や定常特性が悪ければ、クルマは不安定になり、危険な状態に陥るか、
あるいは、即応性が非常に悪いために、危険回避が不能になるわけです。
前者は若年ドライバーの無謀運転、後者は高齢ドライバーのノロノロ運転と判断力の鈍さに該当します。
スピードを出さない高齢ドライバーが事故を起こすのは、1、2、3全てに該当するわけですが、1については、過渡特性が劣るため、危険回避のための敏速な操作が出来ずに事故を起こす のです。
たとえば、乾燥路面において時速40Kmで走行しているクルマを、危険回避のために停止させる場合、普通であれば15メートル前後(夏場)で停止できます。
しかし高齢ドライバーの場合は、この距離が非常に長いのです。
高齢ドライバーは、危険を認識してブレーキ操作を行うまでの時間が長くかかるため空走距離が長く、更に足腰の力が弱いため、十分なブレーキ操作ができません。そのために制動距離が長く なります。他車が追い越しをかけてきて、すぐ割り込まれた場合、過渡特性 が優れていれば、敏速に危険回避ができる場合が多いのです。
更に高齢ドライバーは、2の[予見能力が低い ]ことも原因になっているのです。追い越された場合、割り込まれるかどうか[予見 ]できなければ、非常に危険です。
「運転席から見えない外界の範囲を死角 」といいます。 しかし「目で見える物だけが存在するとは限りません」。逆に、「目では見えないからといって存在しないとも限りません」。 例えば、目で見える蜃気楼 は、その場には存在しません。あるいは、何らかの原因で、幻覚状態 に陥ると、存在しないものまで見えてしまうといいます。
ここで、目では見えない、又は見え難い例を挙げます。
例えば、”薄暮 ”では、歩行者や対向車が見え難くなります。また、対向車のヘッドライトが歩行者を照らすと、自分のクルマからは、その歩行者の影しか見えなくなることがあります。つまり視覚というものは如何に、いい加減なものかを考えなければなりません。
次に、「死角 」を見ようとする場合にも「予見能力 」と「的確な状況判断 」が必要なのです。もちろん視覚や聴覚、臭覚、触覚も必要です。
発車寸前のクルマの前後左右の「死角」は、乗る前にクルマの周りを一巡すれば、安全かどうか大体の見当がつくものです。
もしクルマの周りで子供が遊んでいれば。一言注意をすればよいのです。更に、クルマを安全に発車するための初期速度は、時速2~3Km (ほぼ子供の歩行速度)とします。この状態で、クルマが2~3メートル動いてから本格的に 加速します。
見通しの悪い交差点では、できる限り減速したうえ、センターライン側に寄ります。交差点に差し掛かったときには、クラクションを軽く鳴らすのも一つの方法です。夜間走行の場合は、ヘッドライトをパッシングなどで、一時的に明るくするなどで「死角」があっても安全確認の方法があるはずです。
ドライバーが適切な「予見能力 」を備えれば「車の陰から歩行者がでてくる 」、「親子が道路を挟んで会話をしていたら子供が飛び出す 」、「犬や猫が走ってきたり、サッカーボールが転がってきたら、子供が追っかけてくる 」などの予見は誰にでも簡単に出来るものです。
次に、「協調性 」とは、「お互いに調和すること 」であり、相手があるからこそ「協調性 」という言葉が成り立つのです。
安全走行やクルマの流れを乱すような「無理な割り込みをしない 」、「暴走運転や低速運転をしない 」などという基本的なマナーが「協調性」 なのです。
何回も述べますが、交通事故は「ドライバーの技量 」と「クルマの構造 」そして「交通システム 」の三要因が重なり合って起こるのです。
しかし、今回の軽井沢スキーバス転落事故では、これらのことは、あまり議論も説明もされておりません。
もっぱら、「格安ツアー 」が大きな原因で、運転手の健康管理もおろそかにされていたなどと報じられています。
それでは、低い運航費用を実現し、低価格かつサービスが簡素化された航空輸送サービスを提供する「格安航空会社 」は、パイロットや客室乗務員の健康管理を、おろそかにしているのでしょうか。
「格安ツアー 」の旅行会社やバス会社を批判している評論家の多くは、大手の旅行代理店やバス会社の利益を守るために発言していると思いたくもなります。
従って、悲惨なバス事故を無くすには、運転手の運転技術の向上と健康管理は当然として、バスの全座席には「三点式シートベルト 」と「エアバッグの装着 」を義務づけるべきと思います。
2016年2月13日 元・文部科学技官 石川栄一
冷静な識者はどう見たか 「北朝鮮ミサイル」列島大騒動
2016年2月8日 日刊ゲンダイ
このバカ騒ぎはいったい何だったのか。
7日午前9時半ごろ、北朝鮮が「地球観測衛星『光明星』を打ち上げる」との通告通り、「人工衛星」を発射。すぐさま緊急情報ネットワーク「エムネット」や全国瞬時警報システム(Jアラート)を通じて全国にミサイル発射情報が配信されるなど、各自治体は対応に大わらわだった。お茶の間も朝からこのニュースに席巻された。
日曜の朝に打ち上げるなんて、まったく人騒がせな国だが、北の核実験やミサイル発射は、常に米国の譲歩を引き出すのが狙いだとされる。今回は中国も大きなターゲットだ。
「国連安保理では、北朝鮮が先月行った核実験の制裁決議案についての折衝が続いています。米国は制裁強化を主張して、中国に対し『北朝鮮への石油の供給を止めろ』と言っている。しかし中国は『追いつめすぎるとかえって暴発を招く』と消極的です。北朝鮮は、米中両国に揺さぶりをかけている。折しも米国は大統領選の真っただ中です。北朝鮮のミサイル発射は、共和党側からの『民主党の姿勢が北の増長を招いた』という批判材料には使われるでしょうが、すぐに有効な手を打ち出せる状況ではない。今回の発射を受けて、安保理は緊急会合を開きましたが、中国としては非常に難しい対応を迫られています」(国際ジャーナリストで早大客員教授の春名幹男氏)
北の3代目は、どうせ今の中国には何もできやしないと足元を見ている。それは今月、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議で議長を務める中国の武大偉朝鮮半島問題特別代表が平壌を訪問した最中に、発射を通告したことでも分かる。これで中国のメンツは丸つぶれになった。もちろん、中国を挑発するのは、その先に米国との対話を見据えているからだ。
■米国はミサイルではなく人口衛星と認定
一連の核実験も今回の発射も、示威行動には違いない。破れかぶれというのはちょっと違うが、狙い通りに物事が進むとも思えず、悪あがきの類いでしかない。北朝鮮にとっては、「この道しかない」というところだろう。
だが、それが本当に日本にとって脅威かというと疑問だ。
日本政府もメディアも「北朝鮮が事実上の弾道ミサイルを発射」と言って脅威を煽るのだが、発射直後に、アメリカ国防総省が「長距離ロケットは宇宙空間に到達した」と発表。米戦略軍統合宇宙運用センターは「ロケットから分離された2つの物体が地球周回軌道に乗り、うちひとつは衛星とみられる」としている。ということは、これはミサイルではなく、本当に人工衛星ということではないか。
軍事評論家の田岡俊次氏が言う。
「国連安保理の決議2087(13年1月23日)などが何度も北朝鮮に対し、『弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射、核実験もこれ以上は実施しない』ことを求めている以上、今回の人工衛星打ち上げがそれに違反していることは明白です。ただ、日本で『人工衛星打ち上げと称する弾道ミサイル発射』と報道されているのは政府のミスリードだと思う。北朝鮮は地球観測衛星、すなわち偵察衛星を上げようとしたのです。『弾道ミサイルと衛星打ち上げロケットは技術的に同じ』といわれますが、それは旅客機と爆撃機が基本的には同じというレベルの話です。今日ではロケットも分化が進み、目的による違いも大きい。今回の『テポドン2』型のように、高さ67メートルもの塔のそばで、2週間以上もかけて衆人環視の中で組み立て、燃料注入に3日もかかる代物は、弾道ミサイルに適していません」
日本のH2Aロケットを思い浮かべれば分かるが、戦時や緊張が高まった際、即時発射も移動も不可能なミサイルは、発射準備をしている間に、航空攻撃などで簡単に破壊されてしまう。
ありもしない危機を軍拡や改憲の根拠に政治利用
今回発射されたのは人工衛星なのに、日本政府は「ミサイル発射」と称して破壊措置命令を発令し、東シナ海と日本海に迎撃ミサイルを搭載したイージス艦を展開。都内とその周辺や沖縄県内に地上配備型迎撃ミサイル「パトリオット」(PAC3)を配備するなど厳戒態勢を敷いた。いたずらに北の脅威を煽り、“ミサイル”発射を好機として対応しているように見える。
「防衛省はPAC3を沖縄の先島諸島にも配備しましたが、テポドン2が順調に飛行すれば日本領域には落ちないから、迎撃の必要はない。逆に故障した場合も撃ち落としようがないのです。超高速の弾道ミサイルに対する防衛では、相手の放物線を計算し、『未来位置』に向け発射するのですが、故障して不規則な飛翔をする目標の未来位置は予測不能だからです。いずれにせよ役に立たないものを、はるばる運び込んだのは、沖縄県民に“自衛隊が守ります”と宣伝し、辺野古の飛行場建設や宮古島、石垣島への自衛隊配備の地ならし工作なのか。あるいは、すでに1兆3000億円も投じた弾道ミサイル防衛が役に立っているような印象を国民に与えるための“展示訓練”かと苦笑せざるを得ません」(田岡俊次氏=前出)
今回のような状況ではPAC3なんて何の役にも立たないし、配備はただのデモンストレーションでしかない。本当の危険は別にあると田岡氏は言う。北朝鮮は旧ソ連の潜水艦発射ミサイルを基礎にした弾道ミサイル「ムスダン」を持っている。これは12輪の自走発射機に乗せ、山岳地帯のトンネルに隠して、10分ほどで発射できるようにして待機しているという。射程は3000キロ以上だから、日本を確実に捉えている。これこそが本当の危険だというのだ。
■破壊措置命令を継続の悪ノリ
「PAC3なんて、現実の戦闘になれば、まったく使い物になりません。本気で北朝鮮が日本を攻撃する気になれば、ミサイル発射時刻を事前に教えるはずがない。いつ撃ってくるか分からないのに、発射からわずか10分ほどで日本本土に到達するミサイルをどうやって迎撃するのか。迎撃システムを配備する前に着弾してしまいます。今回は、日本への攻撃ではないことがあらかじめ分かっていたから、いざとなれば迎撃するフリができただけです。しかも、打ち上げの脅威は去ったのに、破壊措置命令を継続するという。悪ノリでしかありません」(元外交官の天木直人氏)
安倍首相は北の発射に対して「断じて容認できない。日本独自の措置を行う」とイキリ立ってみせた。国連安保理の緊急会合でも、強力な制裁決議の採択に向けて米韓と連携し、仏ロ英にも協力を要請するという。国内向けには強硬姿勢を示し、国際的には北をダシにして中国を孤立させる狙いがミエミエだ。
「北朝鮮にしてみれば、今回のターゲットは米中であり、日本は眼中にないのに、攻撃対象になったかのように騒いでみせる。どのみち日本は米国の意向に従うだけで、独自の外交なんてできやしないのに、バカバカしくて言葉もありません。有事を利用するのは政権の常套手段ですが、特に安倍政権では顕著です。それも、あまりに底が浅い。北のミサイル発射は、集団的自衛権行使の必要性をアピールするチャンスだと張り切っているようにしか見えません。起こりもしない危機を煽り立てて、国民を改憲に向かわせようとしているだけなのです」(天木直人氏=前出)
北朝鮮が制御不能なのは確かだ。今後も何をしでかすか分からない得体の知れなさはある。だが、脅威を煽って国民を攪乱する手法は危うい。“ミサイル発射”にも必要以上に踊らされることなく、政権の狙いを見極める必要がある。
正月早々、こんなニュースが飛び込んできました。
厚生労働省は、今年4月から紹介状なしで大病院を受診した患者に、初診料とは別に最低5000円の追加負担を求める方針です。
対象となるのは、大学病院や公立病院など全国およそ250の大病院です。厚労省は、今年4月から紹介状なしでこれらの大病院を受診した場合、患者に初診料とは別に追加負担を求めることにしていて、負担額は最低5000円とする方向で調整しています。
対象となる病院は、5000円以上を請求できることになり、これは軽症の患者は中小規模の病院や診療所を受診するようにしてもらい、大病院が重症の患者を中心に、より高度な医療を提供できるようにするのが狙いです。
ただ、救急の患者や近くに診療所などがない場合は、追加負担を求めない方針です。
厚労省は今後、中医協=中央社会保険医療協議会で正式に決めることにしています。(05日11:12)TBS系(JNN) 1月5日(火)12時36分配信
現在でも、北大病院など独立行政法人や国家公務員共済組合などが経営する大病院では、紹介状なしで受診した患者に、初診料とは別に3000円以上請求しています。
それを5000円に上げたところで、狙い通りに「軽症の患者は中小規模の病院や診療所を受診するようにしてもらい、大病院が重症の患者を中心に、より高度な医療を提供できるようにする」ことになるのかどうか、疑問です。
3000円に上げたときも、同じ事を謳っていました。ある大病院の職員によると「追加負担の受診患者は大病院のカモ」だといいます。
そもそも、「軽症」かどうかは、医者にかかってみなければ分からない(医者でも分からないときもある)わけで、中小規模の病院や診療所で長期間、診てもらった結果、手遅れになることがあり得るわけです。
そして、大病院にまわされても、専門医から「どうして早く来なかったのか、もう手遅れです」と引導を渡されかねません。
また、中小規模の病院や診療所が、紹介状を書いてくれるかどうかも疑問です。医療は「早期発見・早期治療」が原則です。患者からしてみれば、はじめから高度な医療を受けたいので、大病院にかかるわけです。
したがって、現在の3000円から5000円に引き上げても、厚労省の目論み通りにはならないでしょう。
予期せぬ病気や病弱で通院している方、そして入院されている方には、医療費の値上げは本当に堪えると思います。好き好んで病気になる人間などどこにもいません。病人からお金を取ること自体、間違いだと思います。
我が国では、現在でも、毎年のように医療費の値上げが実施されており、多額のお金がなければ病院にかかれないという事態に陥る恐れがあります。
20年ほど前、娘が交通事故に遭い、頭部を打ったので、札幌医大付属病院の「外来受付」に行きますと「交通事故の場合、医療費の支払い者が分からなければ診察できません」といわれ、応急処置どころか、何も診療してもらえなかった事があります。
税金は上がる、医療費が上がる、公共料金も上がる、上がらないのは給料くらいでしょう。しかし税金や公共料金の値上げの場合、家計の支出を抑制することで、ある程度の対策が可能ですが、病気を抑えることはできないので、医療費の値上げの対策はできません。 特に心臓病や高血圧症などの慢性病を抱えている方には深刻な問題です。
この際、各病院で「医療費の超特価キャンペーンでもやったら」と思うこともあります。また薬品会社は「薬品のバーゲンセール」を実施するのです。市販薬の場合「薬のツルハドラッグ」などでも安売りしています。
私のかかりつけの病院では、患者に中元や歳暮を配ったりしています。そこまでしなければお客(患者)が他の病院に離れていくからかも知れません。
ところで、病院に行くと、女性の患者が多くて「ここは婦人科ではないかな」と勘違いすることもあります。
私の母も、札幌市西区の医院を中心に、診察券を何と30枚以上持っていました。いやあ驚きました。整形外科の診察券が多かったですね。最初から大病院にかかってさえいれば、このようなハシゴ受診をしなくてもよかったと思います。
平均寿命が、男性よりも女性の方が長寿であるのは、女性は日常的に、健康に気をつけているからでしょう。
高齢者の場合、手術代も高いですね。母が「背骨の手術」をした時には、444万円もかかりましたが、高齢者であるので「自己負担はゼロ円」だったので助かりました。
更に高額医療費として、亡き父のような「透析患者」の例があります。透析病院では、1回の透析に3万円くらいの経費(30年前)かかったようですから、父のように週3回の透析の場合、1ヶ月で36万円、1年で432万円になります。
父は、透析を始めてから10年目で亡くなりましたので、透析だけで、4,320万円もかかった事になります。
他に、人工透析のシャント手術が数回、心筋梗塞の治療そして長期の入院費などを含めると、父の10年間の治療費の合計は、5,000万円~6,000万円もかかっていたと思われます。しかし当時は透析患者の自己負担はゼロ円で、全て健康保険から支出されていたわけです。
ここで、参考までに「米国の桁違いな高額医療費」を紹介します。なお米国の医療費は各州により異なります。(以下、参考資料)カラパイヤ
1.背中の手術を終えた後に受け取った初回の請求書 1200万円
※なおこの請求書に手術代は含まれていない。
2.腹痛が6時間も続いたので、急患として病院に行った時の請求書 149万円
3.救急車で救急医療室に運ばれ、2日間入院した際の請求書 141万392円
4.虫垂切除(盲腸手術)の請求書 441万2550円
5.アレルギー反応がでて45分間病院にいた時の請求書 8万2530円
(保険に加入している場合)
米国では保険料の支払いが困難な中・低所得者を中心に、国民の6人に1人は医療保険に加入しておらず、病状が悪化するまで医療を受けられない人も多い。結果として国の医療支出がふくらむという弊害も起きている。
(ここまで)
米国は、1%の富裕層が99%の国民を支配する国とも言われています。
日本も国民皆保険が崩壊したら、医療費は米国並みになりそうです。
例えば、アメリカの出産費用14,000ドル(168万円)。
虫歯の治療 2本で1200ドル 14万4千円。
盲腸手術入院(州によって異なる) 441万円と超高額な医療費。
また、高収入の中産階級であっても、突然の医療措置によって、貧困階級に落ちることもありえます。
病人から布団を剥ぎ取るような医療制度はやめてほしいものです。
2016/01/05 石川栄一
野坂昭如が死の4ヵ月前に綴った、安保法制と戦争への危機感「安倍政権は戦前にそっくり」「国民よ、騙されるな」 【出典】LITERA(リテラ) 2015.12.10
12月9日、作家の野坂昭如が心不全のため都内病院で亡くなった。85歳だった。 野坂昭如といえば、大島渚・小山明子夫妻の結婚30周年を祝うパーティーで大島渚と大乱闘を繰り広げたり、ブルーフィルム製作を営む青年たちを主人公にした小説『エロ事師たち』(新潮社)を出版したり、編集長を務めていた月刊誌「面白半分」(株式会社面白半分)に永井荷風『四畳半襖の下張』を全文掲載してわいせつ文書販売の罪で起訴されたりと、マルチな分野で才能を発揮しながら、つねに冗談とも本気ともつかぬ、軽妙かつ過激な言動で世間をアジテートしてきた。 そんな野坂が人生を懸けて表現し続けてきたものがある、それは「平和」への願いだ。 自身が体験した悲惨な戦争体験から、戦争の恐ろしさ・平和の大切さを発信し続ける姿勢は、最晩年になっても変わることはなかった。本稿では、そんな野坂昭如が最期に残した言葉を紹介したいと思う。 野坂昭如、最期の平和へのメッセージ。それは、「サンデー毎日」(毎日新聞出版)2015年8月23日号に寄稿された文章「二度と戦争をしないことが死者への礼儀だ」であった。
野坂昭如の代表作といえば、1967年に発表され直木賞を受賞し、88年に高畑勲によってアニメ映画化された『火垂るの墓』があげられる。この物語が彼の実体験をベースに書かれていることはよく知られている話だが、まず彼は『火垂るの墓』についてこのように綴っている。
〈ぼくは焼け野原の上をさまよった。地獄を見た。空襲ですべて失い、幼い妹を連れ逃げた先が福井、戦後すぐから福井で妹が亡くなるまでの明け暮れについてを、「火垂るの墓」という30枚ほどの小説にした。空襲で家を焼かれ一家離散、生きのびた妹は、やがてぼくの腕の中で死んだ。小説はぼくの体験を下敷きにしてはいるが、自己弁護が強く、うしろめたさが残る。自分では読み返すことが出来ない。それでも戦争の悲惨さを少しでも伝えられればと思い、ぼくは書き続けてきた。文字なり喋ることだけで、何かを伝えるのは難しい。それでもやっぱりぼくは今も戦争にこだわっている 〉
戦争とはどれだけ酷く、悲しいものなのか。野坂は次のように言葉を重ねる。実際に戦争を体験し、その悲しみを身体に刻み込んできた彼から放たれるメッセージには並々ならぬ重みがある。
〈戦争は人間を無茶苦茶にしてしまう。人間を残酷にする。人間が狂う。だが人間は戦争をする。出刃包丁で殺そうが、核兵器で殺そうが同じことである。戦場で殺し合いをする兵士が、家では良き父であり、夫である。これがあたり前なのだ 〉
〈戦争は人間を人間でなくす。では獣になるのか。これは獣に失礼。獣は意味のない無駄な殺し合いをしない。人間だけが戦争をするのだ。今を生きる日本人は、かつて戦争へと突き進んでいった人間たちと、どこがどう違うのか。何も変わりはしない。だからこそ戦争の虚しさを伝え続ける必要がある 〉
「かつて戦争へと突き進んでいった人間たちと今を生きる日本人は何も変わらない」。この夏、我が国が「戦争のできる国」へと大きく舵を切った後に読むと、より考えさせられる言葉だ。この一文が象徴しているように、強硬なプロセスで採決された安保法制と安倍政権のやり方に対し、野坂は怒りを隠さない。
〈安保法案は衆院で強行採決された。じゅうぶんに審議は尽くされたという。審議尽くされたはずが、国民の大多数は説明不十分だと受けとめている。国民、学者、専門家から批判の声があがるが、お上はこれを無視。安倍首相をはじめ、政権側は、衆院に送り、今後国民にしっかり説明していくとのたまう。だが国会は説明の場ではない 〉
続けて野坂は、表現・マスコミに関わる者として、今のメディアを取り巻く環境を戦前のそれと重ね合わせる。
〈安保法がこのまま成立すれば、やがて看板はともかく、軍法会議設立も不思議じゃない。これは両輪の如きものとも言える。すでに特定秘密保護法が施行され、さっそくの言論弾圧。そのうち再びの徴兵制へと続くだろう。
言論弾圧が進めば、反戦的言辞を弄する者は処罰される。すでにマスコミにも大本営発表的傾向がみられる。これがこのまま続けば国民の国防意識を急速に高めることも可能。たちまち軍事体制が世間の暮らしの仕組みの上に及んでくる。戦争ならば覚悟しなければならない。往年の国民精神総動員令がよみがえる 〉
彼が主張する戦前と今の類似点は、報道に対する圧力だけではない。国民の声は無視、まるで独裁者のように振る舞う政府の姿勢も戦前そっくりだと野坂は語る。
〈かつて軍国主義は軍隊が専横をほしいままにし、頂点に立つ何人かが協議。制度を整え、戦争を準備した。強力な指導者の登場は挙国一致体制が前提。今は軍国主義の世の中ではない。だが、世間が反対しようと無謀であろうと、無理のごり押しを平気でする。決めたらひたすら突き進む。この政府の姿勢は、かつてとそっくり 〉
戦後70年の節目にして、戦前のような状況に戻ろうとしている日本。無論、このことは国民の我々にとって絵空事ではない。彼は次のように警鐘を鳴らす。
〈日本が戦争出来る国になる以上、戦争を想定した上での都市のあり方、疎開や備蓄、あらゆることを考えておかなければならない。積極的平和主義など姑息な言い方はやめて、安倍首相は国民にとって戦争というものが、どういうものかを、論理的に説明すべきだろう。本質を語らずうわべばかり 〉
死のわずか4ヵ月前、安倍政権による“戦争のできる国”づくりに対する危機感を訴えていた野坂。先の戦争を知っているからこその危機感だろう。11月30日に亡くなった水木しげるもそうだが、先の戦争を体験し、その悲しみを伝え続けた世代が次々と鬼籍に入っている。それにつれて、この国は戦争の恐ろしさ・悲しさを忘れつつある。
戦争の犠牲となった人々、また、その悲しみを戦後70年間抱え続けた人々、そんな先人たちのためにも、いま一度「平和」への誓いを新たにしなければならない、と野坂は綴る。そんな野坂昭如の最期のメッセージをあらためて噛み締めたい。
〈戦争で多くの命を失った。飢えに泣いた。大きな犠牲の上に、今の日本がある。二度と日本が戦争をしないよう、そのためにどう生きていくかを問題とする。これこそが死者に対しての礼儀だろう。そして、戦後に生まれ、今を生きる者にも責任はある。繁栄の世を築いたのは戦後がむしゃらに働いた先人たちである。その恩恵を享受した自分たちは後世に何をのこすのか 〉
〈どんな戦争も自衛のため、といって始まる。そして苦しむのは、世間一般の人々なのだ。騙されるな。このままでは70年間の犠牲者たちへ、顔向け出来ない 〉
(新田 樹)
【出典】LITERA(リテラ) 2015.12.10
『ゲゲゲの鬼太郎』で知られる漫画家・水木しげるが、今朝、多臓器不全のため都内の病院で亡くなった。93歳だった。
1922(大正11)年生まれの水木は、1942年、20歳の秋、兵庫・西宮で徴兵検査を受け、近眼のため乙種合格となった。今年5月に、水木が出征前に記した手記が発見され、文芸誌「新潮」(新潮社)に掲載、話題になったことは記憶に新しい。手記は断片的ではあるが、哲学・芸術に想いをめぐらせた思索的なものだった。そして、その後戦地を目前としての死生観が記されていた。
〈毎日五萬も十萬も戦死する時代だ。芸術が何んだ哲学が何んだ。今は考へる事すらゆるされない時代だ。画家だらうと哲学者だらうと文学者だらうと労働者だらうと、土色一色にぬられて死場へ送られる時代だ。人を一塊の土くれにする時代だ。こんなところで自己にとどまるのは死よりつらい。だから、一切を捨てゝ時代になつてしまふ事だ。暴力だ権力だ。そして死んでしまふ事だ。それが一番安心の出来る生き方だ。 〉(「新潮」15年8月号より)
翌年1943年4月、水木のもとに、臨時の招集令状が届く。補充兵となり、激戦地ラバウル(ニューブリテン島)へ出征。爆撃によって左手を失った。戦後、漫画家となった水木は、自らの戦争体験を元にした作品を多数発表してきた。なかでももっとも有名なのが、自伝的戦記マンガ『総員玉砕せよ!』だろう。水木が「90%は戦地で自分が見聞きしたこと 」であり「最も愛着が深い作品 」だという同作は、こんな場面から始まる──。
ニューブリテン島のココポという船着場で、日本軍の兵士たちが「ピー屋 」、つまり慰安所の前で長蛇の列をなしている。「一人三十秒だぞ 」と言う兵士。対し、慰安所の女性は「皆さんもう五時ですからおしまいですよ 」と言う。
兵士たちは「そんなこというなよ御国のためだ 」「もう少し営業しろい 」と食い下がるが、慰安婦はため息をつきながら「もう体がもたないわ…… 」。
しかし、兵士は懇願する。「ねえちゃんあと七十人くらいだがまんしてけれ 」
同作は、最終盤に兵士たちが敵隊に突入し、全員が玉砕するのだが、最後の数ページはひとつのセリフもなく、倒れ重なる死体のカットが繰り返されるだけ。死体はやがて白骨となり、まるでゴミかなにかのように積もっていく。その静寂のなかで幕を降ろす。
圧倒的な不条理。そこには、昨今の戦争をモチーフにした小説や映画、漫画、アニメに見られるような、ヒロイズムや勇猛果敢さ、あるいは“民族の誇り”なるものは、いっさいない。
2006年、水木は毎日新聞の取材を受けた際、「復員後、戦争を賛美するような戦記物漫画に反発を覚えたことがあると聞きました 」と尋ねた記者に対して、このように答えている(8月16日付大阪朝刊)。
「戦争に行っていない人が描いている、と思った。戦争は映画みたいに都合良くいかない。それからずっとたって、『コミック昭和史』や『総員玉砕せよ!』を描いたのは、戦争を体験した漫画家として、残さなければならない仕事だと思ったからだ。心ならずも亡くなった人たちの無念。敗戦は滅亡だった。食に困らず、豊かさを味わえる現代は天国のようだ。戦争をすべきでない 」
一方、同年の読売新聞でのインタビューでは、「今の日本の現状をどのように見られますか」と聞かれ、こう語っている(06年4月30日付朝刊)。
「これでいいんじゃないですか。締め付けめいたことや忠告めいたことを言ってもダメですよ。自然のままでいい。方向を決めても大したことはない。戦争中は聖なる目的で命がけでばく進したけど、このざまです。あんなに努力して、金をかけ、命まで投げ出して負け、幸せにはなれなかった。あれほどばかばかしいことはない。みな口には出さないけれど、戦争のばかばかしさは今も日本国民に染みついていますよ 」
ところが、2015年、安倍政権下の日本を見ていると、どうにも、この国はまたしても戦争へ向かっているような気がしてならない。
それは、為政者が「未来志向 」の名の下、戦争の“負の遺産 ”を消し去ろうとしていて、しかも、人々の心の中にまでその空気が広がりつつあるからだ。たとえば先日も、自民党で歴史認識問題に取り組む「国際情報検討委員会」の原田義昭委員長が、「南京大虐殺や慰安婦の存在自体を、我が国はいまや否定しようとしている」と発言した。いま、安倍政権は明らかに歴史の修正に舵を切っている。
しかし、水木が『総員玉砕せよ! 』で描いているような場面は、決してフィクションではない。慰安婦は事実存在しただけでなく、彼女たちが強いられた行為は、まさに非道としかいいようのないものだった。水木は別のコミックエッセイで、ココポでの慰安婦をより詳細に描いている。『カランコロン漂泊記 ゲゲゲの先生大いに語る 』(小学館)に収められている、8ページの短いマンガ。タイトルは「従軍慰安婦」だ。
年老いた水木が、書斎で戦争中、ココポでの出来事を回想する。水木青年は、上等兵に「お前も行ってこい」と言われる。以下、水木のモノローグ。
〈というようなことでピー屋の前に行ったがなんとゾロゾロと大勢並んでいる。
日本のピー屋の前には百人くらい、ナワピー(沖縄出身)は九十人くらい、朝鮮ピーは八十人くらいだった。これを一人の女性で処理するのだ。
僕はその長い行列をみて一体いつ、できるのだろうと思った。一人三十分とみてもとても今日中にできるとは思われない、軽く一週間くらい、かかるはずだ。しかし兵隊はこの世の最期だろうと思ってはなれない、しかし……いくらねばっても無駄なことだ。僕は列から離れることにした。そして朝鮮ピーの家を観察したのだ。ちょうどそのとき朝鮮ピーはトイレがしたくなったのだろう、小屋から出てきた。 〉
朝鮮人慰安婦が便所で用を足すところを見て、水木は「はァ」と目を見開く。そして、頭を抱える。以下、再びモノローグ。
〈とてもこの世の事とは思えなかった。第一これから八十くらいの兵隊をさばかねばならぬ。兵隊は精力ゼツリンだから大変なことだ。それはまさに“地獄の場所”だった。 〉
場面はかわって、現代。書斎の椅子で目をつむる老いた水木は、〈兵隊だって地獄に行くわけだが、それ以上に地獄ではないか〉と物思いにふけている。
〈よく従軍慰安婦のバイショウのことが新聞に出たりしているが、あれは体験のない人にはわからないだろうが…… やはり“地獄”だったと思う。だからバイショウは、すべきだろうナ。 ……といつも思っている。 〉
水木しげるは、決して「平和」や「護憲」を大声で叫ぶようなタイプではなかった。だが、多くの子どもたちからも愛される国民的作家であった一方で、こうした戦場の悲惨な現実を、もくもくと漫画で表現してきた作家でもあった。
水木はこの夏の安保法制の強行を見て、何を思ったのだろう。広がる歴史修正のイヤな空気を吸いながら、どう感じていたのだろう。もっともっと生きて、その記憶と思いを伝えてほしかった。その死を惜しみつつ、掌を合わせたい。 (宮島みつや)
(出典)2015.11.30 LITERA (リテラ)
40カ国のリストにはG20の加盟国も含まれているという。
プーチン:「イスラム国の別部隊(元ISIS・ISIL)の資金に関し、私たちが入手したデータに基づいた実例を個人的に提供しました。私たちが確認したところによると、この資金はG20加盟国を含めた40カ国から供与されていることが明らかになっています」
ISISの資金を無償提供する流れを阻止する必要性を議論したばかりでなく、プーチンはまた、ISISによる不法な石油取引を阻止する必要性があると繰り返し言及した。
プーチン:「石油および石油製品の不法取引の規模を明らかに指し示している写真で、宇宙や航空機から撮影されたものがありますが、私はそれを 仲間(各国代表者)たちにお見せしました。車両に燃料を補給するための車の列は数十キロの長さにおよんでおり、4,000~5,000メートルの上空から 見ても地平線の向こうまで伸びているのが確認できます」
(すべて読む)
ISに資金提供「G20含め40カ国」 プーチン大統領
(朝日新聞デジタル)
ロシアのプーチン大統領は16日、テロ問題が中心議題となった主要20カ国・地域(G20)首脳会議後の記者会見で、過激派組織「イスラム国」(IS)に資金提供している国がG20の加盟国を含めて40カ国に上るという見方を示した。
具体的な国名には触れなかった。国家が直接支援しているというよりは、ISの資金源とされる原油販売に関係している組織や、ISの主張に共鳴する支援者がいるとされるシリアの周辺国を念頭に置いているとみられる。
さらにプーチン氏は、ISによる原油の販売について、ロシアの偵察衛星が撮影した画像をG20の会議の場で示した上で、どのような規模で行われているかを説明したという。
ISの資金源を断つために国際的な協力が不可欠だと訴えると同時に、ロシアが行っている空爆についてもその一環として位置づける狙いとみられる。(アンタルヤ=駒木明義)
身内で賞を融通し合ってお互いに得をする状態をつくる。
日本のデザイン業界はコネで成り立っていると言われる所以だ。
【出典】netgeek
五輪エンブレム撤回…新国立に続き、
また無駄金 被害数億円か
2020年東京五輪・パラリンピック大会の組織委員会は1日、ベルギーのリエージュ劇場のロゴに似ているなど、さまざまな盗用疑惑が取りざたされていた佐野研二郎氏(43)デザインの大会エンブレムを撤回することを決めた。この日午前、佐野氏から取り下げの申し入れがあり受諾した。
会見では組織委の武藤敏郎事務総長が「申し訳ない」と釈明。新国立競技場の白紙撤回に続き多額の捨て金が生じることになり国際社会での日本の五輪イメージが地に落ちる事態となった。
混迷で生じたのはまたしても巨額の捨て金だ。都は4600万円かけてエンブレム入りのグッズやポスターを用意。
7月24日に都庁舎前の都民広場で組織委と都が開いたエンブレム発表のイベントの費用は、都が最大で7000万円を支出することになっている。これらの経費をどこが負担するのかも今後、議論される見通しだ。
組織委は選考にかかった費用について「審査会の場所代と東京都の規定に準じた日当を(8人の)審査員に渡しただけ。
損失計算をまだしていない」と述べ、佐野氏にはデザイン報酬の100万円を支払わないことを明らかにした。
経済アナリストの森永卓郎氏は「今の段階だと被害額は数億円だろう。
施設が完成し、ポスターやグッズが出来上がった段階だと数百億円の被害が出た可能性がある」と指摘。
都内の男性会社員(29)は「“パクった”という疑惑が出ている時点で五輪にはふさわしくなく、日本の恥になる」と話した。
新国立競技場の整備計画も白紙撤回までに62億円が投じられており、批判が集中。
いずれも責任の所在は不明瞭のままで、国民の不信感は募るばかり。ネット上には「何もかもグダグダだ」という意見が相次いだ。
【出典】スポニチ [ 2015年9月2日 05:30 ]
<エンブレム問題、海外でも関心 「新たな恥ずべき事態」 > 東京大会の準備の混乱を「新たな恥ずべき事態に苦しんでいる」「卓越した計画性と注意深さで知られる国が、多くの見直しに追われている」などと報じている。
<「ぶざま」と英BBC エンブレム白紙撤回 > 2020東京五輪の公式エンブレムが白紙撤回されたことについて、日本は五輪開催国として信頼できるとみられていたが五輪会場となる新国立競技場の見直し問題も含め、ぶざまな成り行きになったと報じた。
<「ぶざま」と英BBC エンブレム白紙撤回 > Tokyo 2020 Olympics logo scrapped amid plagiarism claim
<東京五輪エンブレム白紙に識者バッサリ…各界から様々な反響 > 演出家のテリー伊藤氏は「もっと早く佐野研二郎氏が辞退すべきだった」と問題が長引いたことを批判。スポーツ評論家の玉木正之氏は「組織委員会の森喜朗会長が責任をとるべき」と斬り捨てた。
漫画家のやくみつる氏は「新しいエンブレムは再び公募するようだが、同じメンバーでもう一度選考するのか。佐野作品を選んだ選考委員たちに責任はないのか」と厳しく指弾。玉木氏は「国家的プロジェクトで問題が相次いだのだから、組織委員会の森会長は責任を取るべき」と森喜朗会長の責任を追及するなど、組織委への批判も噴出している。
7月末に盗用疑惑が浮上して1カ月あまり。東京五輪のエンブレム問題は、1日、ようやく使用中止が決まったものの、原作者のアートディレクター・佐野研二郎氏(43)ひとりが“退場”し、ほかは誰も責任を取らないウヤムヤ決着になりそうだ。とても「一般国民」の理解を得られそうにない。
大会組織委の武藤敏郎事務総長は1日の会見で、佐野氏自ら「デザインは模倣ではないが、いまや一般国民に受け入れられない。むしろ五輪に悪影響を与えてしまう 」などと取り下げの申し出があり、使用中止を決めたと説明したが、まったくよく言うよ、だ。
佐野氏をめぐっては、提訴されたエンブレム以外にも、トートバッグのデザインや、動植物園のシンボルマークなど次々と疑惑が浮上。それなのに組織委は「問題ない 」の一点張り、国内外の信用が地に落ちるまで騒動を引っ張ってきた。揚げ句、せっつかれる格好で公表したエンブレムの原案にまで似た作品があることがバレて、ジ・エンド。
醜態をこれでもかとさらしたのに、武藤氏は、「われわれは(原案公表後に)新たな局面を迎えて危機感を持ち、ただちに行動を起こした 」などと“胸を張って”いたのである。
当然、会見では報道陣から“責任の所在”について質問が飛んだが、元財務次官の武藤氏は「組織委は国民の支持が得られる新しいエンブレムを早く選ぶことが大きな責任 」「(エンブレムの選考には)大勢の人が関与している。誰かひとりが責任を取るという議論はできないし、すべきではない 」などと、ひたすら責任逃れの“官僚答弁”に終始した。
「佐野さんありきの選考だったのでは?」という質問も出たが、武藤氏は「それはないと思う」とのらりくらり。
大阪芸術大芸術学部の純丘曜彰教授(芸術計画学科)がこう言う。
「コンペに“問題作品”が紛れ込むのは当たり前で、そうした作品をはじくためにも審査員がいるわけです。それをスルーさせ、1カ月も世間を引っかき回した責任は問われてしかるべきでしょう。新しいエンブレムの選考は公募を前提といいますが、これだけ騒ぎが大きくなった後で、果たして“身体検査”を覚悟の上で応募できるグラフィックデザイナーが何人いるのか、疑問です。審査員にしたって成り手がいるのかどうか…… 」
東京都はすでに、エンブレム入りののぼりやポスターなど約4600万円分を発注。これらもすべてパーだ。
「競技場に続いてエンブレムも白紙撤回とは、前代未聞です。ナアナアの永田町のように、組織委の森喜朗会長ら幹部が誰も責任を取らずにウヤムヤで終わらせたら、国民もすっきりした気持ちで五輪を迎えられない。また同じような問題も起きるでしょう。トップも白紙に戻してケジメをつけないと、国民は納得しませんよ 」(政治評論家・山口朝雄氏)
【出典】日刊ゲンダイ 2015年9月2日
参考写真
PC DELL XPS 8700
DELL XPS 8700と
LGブルーレイドライブ BH14NS48
中央上
LGブルーレイドライブのSATA基盤1
LGブルーレイドライブのSATA基盤2
LGブルーレイドライブのSATA基盤3
LGブルーレイドライブの内部1
LGブルーレイドライブの内部2
PC DELL XPS 8700内部1
PC DELL XPS 8700の内部2
上から
【光学ドライブ】 ■MATSHITA DVD+-RW SW830
■HL-DT-ST BD-RE BH12NS30
【HDD】 ■ST3300820SCE 300GB(増設)
PC DELL XPS 8700内部3
【光学ドライブ】
■HL-DT-ST BD-RE BH12NS30周辺
DELL XPS 8700
スペックは次の通りです。
【CPU】
第4世代 インテル Core i7 4790 プロセッサー
(8M キャッシュ, 最大4.00 GHzまで可能)
【メモリー】
8GB デュアル チャネル DDR3 1600MHz (4GBx2)
(合計16ギガバイトに増設)
【ストレージ(HDD)】
■ST1000DM003-1ER162 1TB 7200 回転
■ST1000DM003-1ER162 1TB 7200 回転(増設)
■ST3300820SCE 300GB(増設)
【光学ドライブ】
■MATSHITA DVD+-RW SW830
■HL-DT-ST BD-RE BH12NS30(増設)
■HL-DT-ST BD-RE BH14NS48 USB Device(外付け増設)
【グラフィックス】
NVIDIAR GeForceR GT 720 1GB DDR3
(ATI AMD Radeon (TM) R9 200 Series 2GB DDR3に交換)
【モニター】
Dell S2340L 23インチ フルHD LED モニタ-
(23 VIS、ワイドビュー、DCR 8M)(VGA/HDMI)
【オーディオ】
■1AX210 USB ステレオ スピーカー
■DW 1704 + BT4.0
[802.11bgn + Bluetooth 4.0, 2.4 GHz, 1x1]
■サウンドカード
Bluetooth オーディオ
Realtek High Definition Audio
USB オーディオ デバイス
AMD High Definition Audio Device
【マウス、キーボード】
ワイヤレスマウスがワイヤレスマルチメディア日本語キーボードに含まれてます。
Dell ワイヤレスデスクトップキーボード&マウスバンドル (日本語版)
【OS】
WindowsR 8.1 (64ビット) 日本語
【付属アプリケーション】
■AdobeR Photoshop Elements &
Adobe Premiere Elements, デジタルデリバリ
■デル SRV ソフトウェア 1704,8700
■Dropbox ソフトウェア
■McAfee(R) 30day Trial
■CyberLink メディア Suite 2.0 DVD など
最近、DELLから購入したPC XPS 8700に、LGブルーレイドライブを接続しようとしたら、ドライブのSATAコネクター(電源側)が破損した。
この原因についてLGに問い合わせたところ、「 ああ言えばこう言う 」の逃げの一手だった!
LGブルーレイドライブ BH14NS48
その過程は次の通りです。
1.PCに、LGブルーレイドライブ(以下BDと略)を増設。
2.BDのSATAコネクターに、PCのデータケーブルと電源ケーブルを接続。
3.ここで、増設HDDコネクターと交換のため、BDから、データケーブル と電源ケーブルをいったん抜く。
4.この時、どういうわけかBDのSATA(電源側)コネクターが破損した。
しかし、このSATAコネクターをよく見ると、どう考えても、通常、破損しようがない(接点を押さえているサポーター)が抜けていました。(写真1)
写真1(破損したSATAコネクター)
私はまさかと思いつつ「通常の使用方法で破損 」したのが腑に落ちないため、購入先のツクモサポートセンターに問い合わせをおこなったところ、つぎのような回答が届きました。
購入店・注文ナンバー: 9002218130
商品名: BH14NS48
■質問
最近デルから直接購入した、DELL XPS 8700に当ブルーレイドライブを接続しようとしたらSATAドライブ用受側コネクタの「電源側が破損」してしまいました。これは保証の対象になるかどうかお知らせください。
■回答
お客様の元で発生した破損につきましては、メーカーの判断で、原因の如何にかかわらず保証対象外となります。そのため、申し訳ございませんが、ご対応させていただく事が叶わない次第でございます。
-------------------------------------------
ツクモサポートセンター
-------------------------------------------
このように、ツクモサポートセンターでは、現品を見ないで、商品に欠陥がないと判断した上で「保証対象外」 という判断をしたわけです。
私としましては、仕方がないので、BD(BH14NS48)のSATA(受け側)コネクターを、ネットから入手(同型の中古BDから基盤を購入)し、BD(LGブルーレイドライブ)の破損したコネクタと交換し、無事に修理完了。
現在は、外付けBDドライブとして順調に動作しています。(写真参照)
外付けドライブとして復活したBD(LG BH14NS48)
さて、ツクモサポートセンターが、現品を見ないで「保証対象外」という回答した件について、その確認のため、LGに問い合わせました。
LGからの回答は下記の通りです。
【問い合わせ1】
Received Date : 2015-08-14 19:40 17
The type of inquiry : その他
Product/Model No. : CD/DVD storage/BH14NS48
【質問】
最近、デルから直接購入したPC、DELL XPS 8700に、当ブルーレイドライブを接続しようとしたら、BH14NS48のSATAドライブ用受側コネクタの「電源側が破損」してしまいました。
このことについて、販売店(ツクモサポートセンター)に問い合わせたところ、「お客様の元で発生した破損につきましては、メーカーの判断で、原因の如何にかかわらず保証対象外となります。そのため、申し訳ございませんが、ご対応させていただく事が叶わない次第でございます。 」という趣旨の回答がありました。
そのため、わたしは、ヤフオクでBH14NS48のジャンク機を購入して「電源コネクタ側基板」を交換したところ、無事に動作することを確認しました。
現在も問題なく、今回購入したBH14NS48が動作しております。
そこで、私が問題としているのは、販売店(ツクモサポートセンター)が、現物を見もせずに「 保証対象外 」という判断を下したことです。
現物のSATAドライブ用受側コネクタは、どう見ても破損しようがない、接点を押さえている板(サポーター)が抜けてしまっています。
貴社の、ご見解を伺いたく存じます。
【回答】
製品を拝見させて頂いていない状況でのご判断はしかねますが、一般的な基本のご対応と致しましては、製品破損の状況ですとメーカー保証対応外となる事が通常ではございます。
---------------------------------------------------------
LG Electronics Japan
カスタマーサポートセンタ-顧客支援チーム
---------------------------------------------------------
この回答において、LGは、『製品を拝見させて頂いていない状況でのご判断はしかねますが 』とのことなので、当該商品BD(LGブルーレイドライブ)の破損したコネクタ部分の写真(写真1参照)を添付して、再度、問い合わせをしたところ、次のような回答が来ました。
【問い合わせ2】
Received Date : 2015-08-15 18:00 37
The type of inquiry : その他
Product/Model No. : / BH14NS48
【質問】
「 製品を拝見させて頂いていない状況でのご判断はしかねますが、・・・ 」とのことですので、現物の接点部の写真を添付します。
【回答】
添付頂きました画像は拝見させて頂きましたが、製品の拝見とは実際に製品を点検させて頂いての事となります。前回のお話でもご案内させて頂きました通り、ツクモ様よりご案内の有った、「お客様の元で発生した破損につきましては…」等の製品の破損の状態に関しましてはメーカー保証対象外とさせて頂いております。
---------------------------------------------------------
LG Electronics Japan
カスタマーサポートセンタ-顧客支援チーム
---------------------------------------------------------
この回答から言えることは、問い合わせ1の【質問】の内容を全く理解していない ということです。
問い合わせ1の質問では、『「電源コネクタ側基板」を交換したところ、無事に動作することを確認しました。 』と記載したように、今回購入したBD(BH14NS48)は、現在も問題なく動作しているのであり、「保証についての質問ではない 」のです。
私が問題としているのは、販売店(ツクモネットショップ)が、現物を見もせずに「保証対象外 」という判断を下したことであり、更に、通常の扱い方をしたにも関わらず、破損しようがない接点『SATA受側コネクターを押さえているサポーター・(接点板)』が抜けたということです。
この質問1を読めば、保証に関する質問ではない ことが分かると思います。
そこで、私は、LGが問い合わせ2の回答で、『製品の拝見とは実際に製品を点検させて頂いての事となります 』と言うので、製品のBD(BH14NS48)を、LGに送付することにして、次のような質問を行いました。
【問い合わせ3】
Received Date : 2015-08-16 16:01 21
The type of inquiry : その他
Product/Model No. : /BH14NS48
【質問】
「 添付頂きました画像は拝見させて頂きましたが、製品の拝見とは実際に製品を点検させて頂いての事となります。 」との事ですが、製品はすでに、修理が完了し、外付けブルーレイドライブとして動作しております。
「 実際に製品を点検させて頂いての事 」のようですので、当該製品を送付したいと思いますので、送り先をご連絡ください。
【回答】
以前のお客様からのお話で、ドライブの破損部分をお客様ご自身で、お直しして頂いた旨のお話がございましたが、弊社メーカー以外での製品の分解や修理をした製品に関しましてはサポート対象外になる為、現状では既にお客様の製品を点検させて頂く事も出来かねてしまいます。
本来であれば、不具合が起こった最初の段階(お客様が製品に手と加えていない段階)で送って頂いた場合であれば、点検させて頂く事自体は可能ではありましたが上記理由により、現在では点検自体もできかねてしまいます。
おそれいりますが何卒宜しくお願い申し上げます。
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LG Electronics Japan
カスタマーサポートセンタ-顧客支援チーム
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この問い合わせ3の回答では、私が問題としている件に全く答えていません。
1.販売店(ツクモネットショップ)が、現物を見もせずに「保証対象外」 という判断を下したことについて。
2.通常の扱い方をしたにも関わらず、破損しようがない接点(SATA受側 コネクターを押さえているサポーター)が抜けたことについて。
つまり、早い話が、LGカスタマーサポートセンタ-顧客支援チームは、顧客の意見など、まったく聞く耳もなければ、まともに答える意思もないということです。
LGカスタマーサポートセンタ-顧客支援チームが主張する「ドライブの破損部分をお客様ご自身で、お直しして頂いた旨のお話がございましたが、弊社メーカー以外での製品の分解や修理をした製品に関しましてはサポート対象外になる 」のであれば、購入先のツクモ(ツクモネットショップ)が、最初から、現品の状態を確認し「点検」なり「修理」なりの対応をとるべき ではないでしょうか。
次はおまけです。
Received Date : 2015-08-17 00:30 44
The type of inquiry : その他
Product/Model No. : /BH14NS48
【質問】
貴社の回答は、すべて、ホームページに掲載させて頂きます。
マニュアル通りのご回答ありがとうございました。
【回答】
おそれいりますが重ね重ね何卒宜しくお願い申し上げます。
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LG Electronics Japan
カスタマーサポートセンタ-顧客支援チーム
---------------------------------------------------------
以上、LGカスタマーサポートセンタ-顧客支援チームによる「ああ言えば、こう言う 」の逃げの一手の対応でした。
2015/09/01 石川栄一
『国の根幹が変わるのに、新聞が反論を載せない異常』
相変わらず安倍政権の支持率は高いが、不思議なことだ。庶民にアベノミクスの恩恵はまったくないし、イスラム国の人質事件は最悪の結末に終わった。政治とカネの醜聞が噴出し、大臣がまた辞任した。
そんな中で、安倍政権は平和憲法をかなぐり捨てる法整備を進めているのに、世論は怒るわけでもない。その理由を尋ねると、来日して12年になるニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラー氏からは明快な答えが返ってきた。
『報じない大メディアが悪いのです』。
Q、――この調子でいくと、今月中にも自衛隊が世界中に出ていって、戦争協力する法案が提出されることになります。国の形が完全に変わってしまうのに、日本人は関心も示さない。どう思いますか?
A、(マーティン・ファクラー)こうなっているのは2つの大きな要因がありますね。ひとつは自民党一強、野党不在の政治状況。
もうひとつはメディアが安倍政権を怖がって批判を控えていることです。
Q、――やっぱり、怖がっているように見えますか?
A、見えますよ。日本はいま、これまでとは全く異なる国家をつくろうとしている。憲法に基づいた平和主義を守るのではなく、米国や英国の仲間になろうとしている。果たして、それでいいのか。大きな岐路、重要な局面に立っているのに、そうした議論が何もないじゃないですか。これは本当に不思議なことです。恐らく多くの国民は、戦後以来の大きな変化が起こっていることすら知らないんじゃないですか。
私は何も新聞に反安倍のキャンペーンをやれと言っているわけではないんです。安倍政権はこういうことをやろうとしているけれども、そこにはこういう問題点や危険性がある。こういう別の意見もある。せめてさまざまな立場の見方を紹介して、幅広い議論を喚起することが必要なんじゃないですか。
『権力を見ない新聞を国民が信じますか? 』
Q、――しかし、それすら大新聞はめったにやらない。何か安全保障の問題はタブー視されているような印象すらありますね。
A、なぜ、タブー視されるのでしょうか。
9・11の直後、米国では国を守るためには団結しなければダメだという危機感がメディアの批判精神を鈍らせました。これは大きな失敗でした。
あの時こそ、メディアは冷静になって、きちんとブッシュ政権に問うべきだったんです。本当にイラクに大量破壊兵器はあるのか。本当に、この戦争をしなければいけないのか。しかし、それをやらなかった。
それと同じ失敗を日本のメディアは犯そうとしていますね。
いま、日本の国家はどういう危機に直面しているのでしょうか? 台頭する中国への不安や懸念ですか? イスラム国の脅威ですか? そんな小さなことでジャーナリズムが批判精神を失うのでしょうか。
『政治利用されるISIS(イスラム国)人質事件』
Q、――イスラム国の人質事件ではニューヨーク・タイムズ紙に掲載された風刺画が非常に印象に残っています。「イスラム国は平和主義から逸脱する日本を後押しするか」というタイトルで、車夫(=日本人)の鼻先にイスラム国の旗をぶら下げ、「憲法改正」の車を走らせる安倍首相が描かれていた。キャプションには「安倍晋三“大統領”は復讐を呼びかけた」とあった。
A、ニューヨーク・タイムズの論評を扱う部署には複数の風刺画家がいます。そのうちのひとりがアイデアを提示した。私が関わったわけじゃありません。
Q、――ということは、米国人は一般的に安倍首相のことを、そういう目で見ているということですね?
A、そうだと思いますね。ひとりがアイデアを出して、みんながそうだね、と賛同したわけでしょうからね。
Q、――それなのに、日本の大メディアは風刺画どころか、安倍政権が人質救出に何をしたのか、しなかったのか。イスラム国と戦う国への2億ドル支援演説の是非もほとんど論じていませんね。
A、私は中東で調査をしたわけではありませんが、東京から見ている限り、安倍政権はあらゆるルートを駆使したわけではないでしょう。
最初からあきらめていたように見えます。
身代金の支払いにしても早い段階から拒否しているし、この事件を政治的に利用し、テロに屈しないと宣言して米英の一員であることを国内外にアピールするのが狙いだったように感じました。
Q、――人質救出に全力を挙げると言っていましたけどね。
A、政治っていうのは、みんなそんなもんですよ。
オバマ政権も一緒です。ただ違うのはメディアが政府の言い分をうのみにするかどうかです。私は列強の仲間入りをしたいという安倍首相が悪いとは言いません。彼は素直に自分のやりたいことをやっている。
それは就任前の言動から容易に推測できたことです。
問題はそれに疑問も挟まず、従って何の質問もせず、説明も求めないメディアの方です。だから、安倍首相が積極的平和主義を唱えれば、多くの国民が何の疑問も持たずに“そんなもんか”と思ってしまう。ここが危険なところです。
『ごく一部の人が管理し動かしている日米同盟』
積極的平和主義で、米国と一緒になって戦う。それが日本を守ることになる。こういう主張の政治家、官僚、学者、評論家たちは、米国がやっていることが正義であるという大前提に立っていますね。
ただし、そういう人々の多くは、アーミテージ元国務副長官に代表されるジャパンハンドラーと呼ばれる人としか付き合っていない。このほど、ファクラーさんが出された孫崎享さん(元外務省国際情報局長)との対談本、「崖っぷち国家 日本の決断」(日本文芸社)の中には、こういうことが書いてあって、本当に驚きました。
ハンドラーという言葉は「犬を扱う」ようなイメージだというし、そのジャパンハンドラーの人々が米国を動かしているわけでもない。これは非常におかしなことだと思います。
ジャパンハンドラーの人々は非常に保守的で、オバマ政権にも入っていないし、決して米国の意見を代表しているわけではありません。それなのに、自民党の政治家や外務省の官僚はジャパンハンドラ―に頼ってしまう。
『ジャパンハンドラー(知日派)とは軍産複合体などの既得権益集団のことだった』
Q、――対談本でファクラーさんは、「ジャパンハンドラーは『既得権益集団』で、コンサルティンググループなどをつくり、強欲な商売をしている」とおっしゃっていた。
A、鳩山政権の時に脱官僚を唱えた瞬間、日米関係がぶっ壊れたでしょ? あんなにすぐ壊れるものかと驚きました。
このことは日米のパイプがいかに細いかの裏返しです。
一部の自民党の政治家や官僚とジャパンハンドラーとの付き合いしかないのです。日米関係に関わっている人は非常に少数で、そういう人が同盟関係を管理している。だから、普天間基地の移転問題にしても辺野古しかないという結論になってしまう。もっと幅広い人脈と付き合っていれば、さまざまな意見、選択肢が出てくるはずです。
Q、――集団的自衛権についても、それが日米同盟では当たり前ということになってしまう。
A、確かに戦後70年間、米国と一緒にやってきて、ある意味、安全だった過去の実績はあります。でも、今後もそれでいいのか。
平和憲法を捨てず、平和主義を貫く選択肢もあるし、鳩山政権や小沢一郎氏が唱えたようなアジア重視の道もある。
どちらがいいかは国民が考えた上で決めるべきです。
『こんな民主主義国家 見たことが無い』
Q、――ところが、日本人には、それを判断する情報すら与えられていないんですよ。新聞が選択肢すら報じないものだから。
A、日本のエリートの上の方で、物事が決まっている。
大きな新聞はそちらの方を見て記事を書いている。そんな印象ですね。
新聞社は読者の側に立って、権力を見ていない。権力者の側に立って、国民を見下ろしている。そんなふうに感じます。こんな新聞を国民は信じますか?
Q、――このまま米国追随路線をエスカレートさせたら、この国はどうなっていくと思われますか?
A、イスラム国のような事件がまた起こりますよ。米英豪仏などと同じ一員になれば、彼らの敵が日本の敵にもなる。
日本人はそこまでの覚悟をしているのでしょうか。
いずれにしても、民主主義国家でこれほど異常な一党支配の国は私の知る限り、見たことがない。戦前と似ていると言う人がいますが、野党不在で政権と違う意見を許さないという雰囲気においては、似ているかもしれません。
健全な民主主義に不可欠なのは議論なのに、それを忘れているとしか思えません。2015年3月16日(日刊ゲンダイ)
『マーティン・ファクラーが語る、サルでも分かる現代日本政治の際立った特徴』
日本文化や社会、日本語が堪能な帝塚山大学のジェフ・バーグランド教授は、英語ではYES・NOの結論部分が必ず最初に来るが日本語では逆に最後になるので、喋っている最中に相手の顔色を見て『これは不味い』と思ったら変更出来るので大変便利な言語だと語っている。
今回のニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラー氏のインタビュー内容ですが、常にYES・NOの結論部分を最初にはっきり『断定的』に言うので『何を主張したいのか』が実に分かり易い(サルでも分かる)特徴がある。
元外務省国際情報局長(日本版CIA)の孫崎亨氏(写真右側)との対談本『崖っぷち国家 日本の決断』 (日本文芸社、2015年2月)も出版している。
▽マーティン・ファクラー 1966年生まれ。ダートマス大卒業後、イリノイ大、カリフォルニア大バークレー校で修士。ブルームバーグ東京支局、AP通信東京支局、ウォールストリート・ジャーナル東京支局などを経て、ニューヨーク・タイムズ東京支局長。近著に「崖っぷち国家 日本の決断」(日本文芸社)。
『オバマに極めて近い(ジャパンハンドラーとは遠い)マーティン・ファクラーNYタイムズ東京支局長』
建前として『不偏不党』(公正。中立)掲げる日本の新聞社とは大違いで、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙は露骨にオバマ大統領支持を鮮明にしている。
今回の安部晋三首相とジャパンハンドラーとの癒着、安倍政権と日本の大新聞との同衾を厳しく批判するマーティン・ファクラーNYタイムズ東京支局長のインタビュー記事ですが、単なるアメリカの一新聞社の外国特派員の見解であると見るよりも、オバマ政権の本音部分(日本の世論に向けた観測気球)だと解釈するほうが正解だろう。
そもそも対テロ戦争を始めた(宗教右派に近い)ブッシュ共和党政権に対して『チェンジ』をスローガンに成立したのが現民主党オバマ政権である。 オバマ大統領の最初の外国賓客は何と日本国の首相だったが、右翼靖国路線の麻生太郎に対する隠すことが出来ない軽蔑感や嫌悪感は露骨な水準だったのである。
その意味で今回の『こんな民主主義国家 見たことが無い』とのニューヨーク・タイムズ東京支局長の発言内容ですが、極右路線の安倍晋三首相の暴走に対して、オバマの堪忍袋の緒が切れかかっている可能性が有るのですから恐ろしい。
2013年の年末にNYタイムスに掲載された「ナショナリズム」というホッピングに乗って、2014年の歴史的地雷原(HISTORICAL MINEFIELD)に飛び込んでいく日本の安倍晋三首相の風刺画。
本来政治家なら誰もが踏み込んではならない『歴史問題』と言う、恐ろしい地雷原の側で、ピョンピョンとホッピングして無邪気に遊び続ける安倍晋三。『これから何処に飛ぶかは予測不能』どころか、誰にでも日本の悲劇的結末は予想済みである。(『灯台もと暗し』とは言うが、世界で知らないのは日本人だけ)
『日本の安倍政権が掲げる「積極的平和主義」とは、大昔の「八紘一宇」のことだった』
安倍晋三が唐突に言い出した積極平和主義ですが、・・・この言葉の意味が、マスコミの有識者には、誰にも分からない。勿論自民党員にも判らない。 共産党とか社民党など左翼は『地球の裏側でも戦争する心算か』と心配するが、自民党一の切れ者である高村自民党副総裁は、地球の裏側どころか必要なら『地球の外側でも戦う』と答えているが、自衛隊はウルトラマンではない。
自民党一の知恵者でも『積極平和主義』が理解出来ず、宇宙戦士のガンダムと混同しているのである。もう、無茶苦茶。何でも有りなのです。
知識とか経験、教養が有る有識者ほど判らない不思議な安倍晋三首相の主張する積極平和主義ですが、参議院予算委員会での三原じゅん子自民党女性局長と麻生太郎副総理と質疑答弁では、安倍の『積極平和主義』とは、ズバリ『八紘一宇』のことだったのです。
誰にも分からない安倍晋三の積極平和主義ですが、その答えとして、今回参議院でのボケとツッコミの掛け合い漫才『八紘一宇』ですが、これ程分かりやすい話も無い。
19世紀のパックス・ブリタニカや、20世紀のパックス・アメリカーナの劣化コピーが大日本帝国の掲げた八紘一宇だった。その『八紘一宇』ですが失敗したからと言って、大成功したパックス・ブリタニカや、パックス・アメリカーナの真似なのです。(一方が悪いなら、もう一方も悪い)
本来責められるべきは日本の八紘一宇(コピー)ではなくて、本家本元の米英列強の覇権主義こそ責任が有る。
『八紘一宇の裏側は、鬼畜米英』八紘一宇と鬼畜米英は別々では無く、二つで一つのセット
大失敗したスローガン『八紘一宇で』ですが、大成功したパックス・ブリタニカや、パックス・アメリカーナの真似なのですが、本物と正面衝突して70年前に崩壊する。
それで今度は安倍晋三の積極平和主義では、パックス・アメリカーナとセット(二人三脚)で八紘一宇を実行するとの話なのでしょうが、『アフガン戦争』とか『イラク戦争』での失敗で、始める前からもう寿命が尽きています。 パックス・アメリカーナも八紘一宇も同じで、賞味期限が、とっくの昔に終わっていた。
賞味期限切れ食品のラベルを張り替えただけの『食品擬装』事件と同じで、昔失敗した『八紘一宇』を新しく『積極平和主義』と名前を変えても成功するはずが無い。
(また、アメリカ大統領のオバマが日本の右翼政治家の安倍や麻生を嫌うのは当然で、八紘一宇と鬼畜米英は別々のスローガンでは無くて、二つで一つのセット『一つのコインの裏表』だったのである)
そもそも戦後レジームからの脱却なら、復活するべきは米英の猿真似(二番煎じ)の八紘一宇では無くて、日本独自の素晴らしい四文字熟語のスローガン、『鬼畜米英』である。
ところが、安倍晋三らの『なんちゃって右翼』の場合には、鬼畜米英では無くて、アメリカ命の対米従属の植民地根性なのである。
白井総の永続敗戦論によると、日本の敗戦を否定する『八紘一宇』がアメリカと正面衝突することが分かっているので、日本の右翼の場合には底無しの対米従属の売国路線によってバランスをとってアメリカからの攻撃を防止している。(日本の右翼歴史修正主義と対米従属がセットになっている)
そのためにアメリカとしては日本の歴史修正主義は国益に叶うので、(幾ら腹立たしく思っても)見て見ぬふりをして今までは放置していた。
基本的に売国的な右翼国粋主義騒動の全ての元凶は、70年前の日本の敗戦とその否定なのですから根が深い。(誰一人も敗戦の責任を取らず、あろうことか逆に戦勝国として振舞ってるのである)
それにしてもアメリカの今の態度が不思議なのです。 オバマ政権の安倍晋三に対する嫌悪感とか侮蔑は露骨過ぎて誰にでも分かる水準なのですが、それなら鳩山由紀夫を引きずり下ろしたように官僚組織とかマスコミなどを使えば簡単に引き摺り下ろせる。ところが逆の態度で政権が長持ちしている不思議。
人情として誰でも尾を振る犬は打てないが、牙をむいて吼える可愛げの無い犬は誰に遠慮することも無く、(飼い主の義務と権利において)思う存分殴ることが出来るのです。想像できないほど最悪のことが、今の日本で密かに進行している可能性が高い。
内閣府の発表の数時間前に、ゴールドマン・サックスは「日本は景気後退に入った」というレポートを発表していた。
カミカゼ黒田とマッドネス安倍のコンビは世界経済崩壊のトリガーとなるか
信じがたいことが日本で起こっています。
海外の投資家の間では、ずっと前に、日本が、トリプル・ディップのリセッション(景気後退)に突っ込んだと認識しています。
これによって、アベノミクスの輝きは、すでに失われています。
この「トリプル・ディップのリセッション」とは何か。日本のメディアは一切報道しません。
ディップ(dip)とは、「一時的な下落」のことです。
ですので、欧米メディアは、日本は「トリプル・ディップのリセッション」に、瞬間的ではあっても、突入したことがあると報じているのです。(zerohedge.com)
ですから、リーマンショック以降、今回で4回目のディップということです。
その翌日、安倍総理は衆院の解散を宣言しました・・・
これは、10月5日のゴールドマンサックスのレポートを基にした日本の景気判断です。
そして、10月7日には、「日本はトリプル・ディップ・リセッション(景気後退)に突入した」と発表しています。それが下の囲み記事です。
内閣府は、景気動向指数であるコンポジット・インデックス(CI)と一致する7ヵ月平均のサインが変化したこと、また、景気の反転において見られる一つ以上の標準偏差の変化によって今までの景気判断が揺るがされていることから、4月以降初めて「弱含み」から「景気が転換したことを示す」と下方修正した。
内閣府は、景気動向指数であるコンポジット・インデックス(CI)と一致する7ヵ月平均のサインが変化したこと、また、景気の反転において見られる一つ以上の標準偏差の変化によって今までの景気判断が揺るがされていることから、4月以降初めて「弱含み」から「景気が転換したことを示す」と下方修正した。
このゴールドマン・サックスの「日本、景気後退入り」レポートが出た数時間後、内閣府も、安倍晋三が圧力をかけても隠しておけなくなったのか、観念したかのように、「日本はリセッション入りした」と発表しました。
つまり、ゴールマン・サックスは、内閣府の発表の数時間前に「日本経済はゲームオーバーだ」と言っていたのです。
しかし、日本のメディアが報道する段になると、「リセッション(景気後退)」という言葉はかき消されて、「下方修正」という言葉でぼかしてしまうのです。
プロ投資家向けには、証券会社などが、「既に景気後退局面に入った可能性が高いことを暫定的に示している」(楽天証券の10月8日のレポート)と書いています。そして、「日銀の政策変更なし」を強調しています。
こんなことは、安倍内閣の御用メディアと化した大マスコミは決して書かないことです。だから、国民はまだ景気後退に入ったとは思っていないのです。
ディヴッド・ストックマンは、確かに、「日銀の精神異常者は、全力で“通貨詐欺”に飛びついた」と日銀の黒田総裁をこきおろしています。
黒田総裁は、11月12日午後の衆院財務金融委員会に出席し、維新の党の伊東信久議員の質問に対して「(10月31日に開いた金融政策会合で決めた追加緩和について)2015年10月に予定される消費税率10%への引き上げを前提に実施した」と答弁しました。
どういうことだか分かりますか?
ゴールドマン・サックスは、10月頭から「日本・景気後退入り」の発表のタイミングをうかがっていたのです。そして、とうとう10月7日に正式発表。
慌てて内閣府も、その数時間後、「景気後退入り」を臭わす発表を出したのです。
しかし、安倍晋三・黒田東彦連合だけは、消費税を10%に上げるために、アベノミクスが生きているかのような演出をさせようと、10月31日、日銀がサプライズの追加緩和を決定したと発表、日経平均株価は爆上げしたのです。
だから、欧米メディアは、一斉に、この二人を狂人だと言い出したのです。
マックス・カイザーは、banking KAMIKAZEという言葉を、安倍政権誕生と同時に使い始めました。
安倍晋三、この男が、世界経済崩壊の引き金を引くだろう、と予言していたのです。
ファウンダメンタルも何もすべて無視。海外のアナリストたちの警告もすべて無視。そして、国債を買い取り、ひたすら札束を増刷し、さらに私たちの年金基金を株式市場に突っ込んでいるのです。
この二人は、もう何も聞かないのです。これをbankig KAMIKAZEとマックス・カイザーが言っていたのです。
そこまでやっても、結果は4─6月期に続き2期連続のマイナス成長。それで、いったんは、矛を収めようと、11月18日、10%の消費増税の先送りを決めたのです。
これが「大義なき解散」の真相です。
海外の投資家たちが「景気後退入り」と断言しているのですから、日銀が量的金融緩和によって株式市場に資金(納税者の金)を突っ込めば突っ込むほど、暴落のリスクが高くなるということを示しています。
狂気を印刷しているジャパン・マネーは、なぜ問題なのか
この記事は、こうした見出しを掲げて
「その狂人首相は、日本経済の残されたものを破壊するため、彼の(破滅へ向けた)運動に参加させようと、より多くの支持者を集めるための“抜き打ち選挙”を指示したのだ」と言っています。
また、「安倍は、もう有権者には止められないどころか、安倍より、ずっと分別のある経済界の指導者たちでさえ止められないだろう」とも。
野村証券の金融経済研究所チーフエコノミスト、 木下智夫は、「経済の先行きに悲観的な理由は何もない」と言っていますが、果たして本当なのか。海外のアナリストたちは、こんな御用証券マンの言うことなど信用していないのです。
安倍首相のブレーン、本田悦朗内閣官房参与は、今週火曜日、レポーターにこのように言いました。
「これはデフレ脱却のまたとないチャンスだ。とはいうものの、この展望からすると、さらに消費税を上げることは危険だ」。
本田悦朗内閣官房参与
本田内閣官房参与は、「10%消費増税」を阻止するため、多くのメディアを通じて、増税の危険性を訴えていますが、どちらかというと、安倍の御用メディアと化した国内メディアより、結果論ですが、海外メディアでの活動のほうに重点を置く形になっています。
安倍=黒田の狂人コンビが、どうにかして国民と投資家の裏をかき、サープライズを仕掛けようかと画策している時期に、本田内閣官房参与は、9月9日のウォールストリートジャーナルのインタビューに応えて、こう言っています。
「アベノミクスと消費税率引き上げは逆向きの方向性を持った政策。本来思いっきりアクセルをふかしているときにブレーキをかけたらどうなるか。車は必ずスピンする」。
確かに、消費増税18ヵ月の延期は、安倍晋三という経済音痴にとって、自分自身が狂人であったこと証明できる機会を先延ばしにしたことになります。
最後に、「あるもう一つの見方」を示しておきましょう。
ゴールドマン・サックスは、世界支配層のための集金マシーンであることは疑いのないことです。
ゴールドマン・サックスの悪魔的に頭のいい人間たちが、このタイミングで「日本経済のリセッション」のレポートを出したことは、日本に撃鉄を弾かせたいのかもしれない、ということです。
そして、安倍晋三が、今でも有識者の警告を無視して、アベノミクスに執着している様は、まるで福島第一原発の瑕疵について複数の内部告発があったにも関わらず、すべてを無視し、安倍晋三と自民党が何ら措置を講じなかったせいで史上最悪の過酷事故を引き寄せた、あのときの状況に酷似しているということを忘れてはならないのです。
狂人に欠落しているもの-それは自分がそうであることを自覚する能力です。だから、何度でも国民の命を奪うでしょう。
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安倍晋三が、これを言った時点で、すでに狂っているのです。だから、今頃になって「総理の精神状態がおかしい」と言い出した自民党幹部の精神状態もまた、おかしいのです。
安倍首相が解散会見を行った11月18日、夜のニュース番組にちょっとした異変が起きた。
通常、解散のような大きな政治的決断をした後は、各局のニュース番組に首相自ら出演するのが慣例になっている。
実際、この日の夜も安倍首相は『ニュースウ オッチ9』(NHK)を皮切りに、『NEWS ZERO』(日本テレビ系)、『NEWS23』(TBS系)に立て続けに出演した。
『NEWS23』では景気に対する街の声を番組側が紹介したところ「厳しい」という意見のほうが多かったため、安倍首相が逆ギレする一幕もあったが、とにかくこれらの番組では、安倍首相自身が顔を出して、解散理由を述べていた。
つづきを読む(カレイドスコープ)
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2014/05/20 に公開
OurPlanetTVは、東京電力福島第一原発事故直後の生々しい現場を記録した「東電テレビ会議」映像を約3時間半に編集し、映像ドキュメント『東電テレビ会議~49時間の記録』を制作。全国にDVDの貸し出しを行っている。この度、その中で、特に3・2号機のベントや被曝シュミレーションなどに関する場面と情報統制に関する場面を25分に再編集し、ネットにて公開することとした。
今回、編集したのは、2011年3月12日深夜から15日未明にかけての音声付き「テレビ会議映像」。一般公開されており、編集が可能な10時間のフッテージを25分にまとめた。13日の段階で、3号機の圧力が上昇し放射能放出の恐れがある中、本店の緊急対策室にいた高橋フェローが深刻な事態をプレスに公表してはどうかとテレビ会議で提案。これに対し、オフサイトセンターにいた武藤副社長や福島第一原発にいた吉田所長も同意するものの、官邸や保安院から公表を止められる。勝俣会長も事態を楽観視し、「国民を騒がせるのはどうか」と公表に反対していた。
翌日3月14日。福島県は午前9時からの関係部長会議で、事態を公表する予定だったが、政府(保安院)の強い要請で東電が情報提供を中止。その2時間後に3号機が爆発に至る。爆発後、福島県の佐藤知事は、東電に対して「健康に影響はない」とプレス発表するよう働きかけていた事実も記録されている。同映像は、朝日新聞が5月20日(火)から連載を始めた、いわゆる「吉田調書」(政府事故調が吉田昌郎元所長の聞き取りをまとめた調書)の証言と重なる部分も含まれている。
VIDEO
2014/06/28 に公開
全ての日本人よ!この光景を絶対に忘れてはいけません!
東日本大震災は2011年(平成23年)3月11日(金)に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波、およびその後の余震により引き起こされた未曾有の大規模地震災害です。この地震により、場所によっては波高10メートル以上、最大遡上高40.1メートルにも上る巨大な津波が発生し、東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害が発生。また、巨大津波以外にも、地震の揺れや液状化現象、地盤沈下、ダムの決壊などによって、北海道南岸から東北を経て東京湾を含む関東南部に至る広大な範囲で被害が発生し、各種インフラ(人々の生活に必須な所謂ライフライン)が寸断されました。
2014年(平成26年)6月10日時点で、震災による死者・行方不明者は18,502人、建築物の全壊・半壊は合わせて40万0,410戸が公式に確認されています。震災発生直後のピーク時においては避難者は40万人以上、停電世帯は800万戸以上、断水世帯は180万戸以上等の数値が報告されています。
復興庁によると、2014年5月15日時点の避難者等の数は25万8,219人となっており、避難が長期化していることが特徴的です。日本政府は震災による直接的な被害額を16兆円から25兆円と試算。
この額は、被害が大きかった岩手・宮城・福島の3県の県内総生産の合計に匹敵(阪神・淡路大震災では兵庫県1県の県内総生産の半分ほどであった)。世界銀行の推計では、自然災害による経済損失額としては史上1位としています。
この震災での犠牲者の死因の殆どが、津波に巻き込まれたことによる水死でした。
津波の中には、大量の砂や海底のヘドロ、港湾施設の重油などの有害物質などが含まれていました。砂が肺に入れば気管を詰まらせ、有害物質が肺に入れば身体を侵す。水死に至る経緯は、これらで呼吸困難になったり、瓦礫が当たり意識を失ったり、3月の雪の舞う中で低体温を伴ってなど、さまざまな経緯もあったと考えられます。圧死・損傷死・焼死も、ほとんどが津波による瓦礫が要因となっています。